2012年4月20日金曜日

"Psychomancy" David Britland





Psychomancy (David Britland, 1986)




カードマンだけど、メンタルも興味あるんだ。(序文より、意訳)



その気持ち、よくわかります。
生粋のカードマニアDavid Britlandが、カードの技法を用いて創作したメンタルマジック集。

幸いにBritlandは趣味が良い方のマニアなので、カードの技法や原理を使っているとはいえ、なるべく見えないよう控えめな使用法です。
総じて、メンタルとしても通じる作品になっているかと思います。


最初の方こそ、VernonのChallengeを名刺で行い、オチに予言を加えたものや、デックの裏に人の名前が書いてあって、というカードマジックの演出だけ変えたような物が続き、いささか退屈もしたのですが、後半は立て続けに面白い現象が飛び込んできて、目が覚めました。


ふたつほど紹介しましょう。


Royal Decree
著者はPrincess Card Trickの変型と書いていますが、B'waveの親戚と言った方が判りよいでしょう。B'waveと比すると、どうしても少し不格好なのですが、プレゼンテーションが素晴らしい。細かいところはタネに直結するので書けませんけれども、B'waveよりクリアーな現象になっていて、僕はこちらの方が好きです。

B'waveは確かに傑作ですが、”あまりに確信が強かったから、この一枚だけ裏色が~”というくだりで、どうしても、じゃあ初めからその一枚だけを封筒に入れとけよ、と思ってしまい、演じる事ができませんでした。追い打ちもやりすぎな気がしますし。
その点、Royal Decreeは予言ではなく、リアルタイムでのテレパシーという演出で、最後にカードを見せる瞬間がクライマックスになるように上手く構成してあり、演出の点ではこちらに軍配を上げたい。

B'waveよりも負担は大きいのですが、これは演じてみたいです。


The Four Bit Machine
もう一つ、特に気に入った作品です。
4×4に並べた数字から一点選んでもらい、その縦横のラインにあたる物を消して、残りからまた選んでもらい、最終的な合計が予言されている、という有名な原理を使った現象なのですが、最後の予言の隠し方、現し方が非常にしゃれています。
ずっと目の前に置いてあった物が、実は予言だった、というものなんですが、その隠し方は――、ま、これも気になった方は、買って読んでみてください。

僕はWonderのCup and Ballみたいな”いつの間にか”現象が非常に好きなのですが、それに似た感覚でした。
これも演じてみたいですねー。


最初は外れかと思いましたが、どうして、なかなか楽しめました。




これで手元にあるBritlandの作品集は全てです。本棚にはBritland著のChan Canasta本とかもありますが、それはまたいずれ別枠ということで。





ところで魔法陣から十字に消していくフォース(Mel Stover Calender Forceとかいうらしい)ですが、どなたかこれをボンバーマンの演出でコミカルに演じて下さる方はいらっしゃいませんでしょうか?

日本でなら、このやや理不尽なフォースが非常に合理的に出来るんです。今がチャンスです。逃すと次はないですよ。さあ。

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