7 Secrets (J.C. Wagner, 1978)
Commercial Magic of J.C. Wagner がとても面白かったので、その前に出版された小冊子、7 Secretsも読んでみた。
元版で買っても$13程度、今回はllepubを使ったので$6。安い。ディスプレイで読むのは余り好きではないので、製本にもチャレンジしてみる。無線綴じ自体は簡単だけども、カバーを造るのが難易度高くて汚くなってしまう。
あと、適当にスキャンした後、白黒2階調でゴミを飛ばしたらしく、文字がちょっと荒い気がする。仕方ないのかなあ。
ともあれ。J.C. Wagnerの小冊子。
手順6個に技法4個の11作品を収録。
例によって、難易度はそこそこ高いのだが、現象がはっきりしていて、エンターテイメント性が高い。ハンドリングもおおむね綺麗で、テンポがよい構成。
今回は御本人の筆。
カラーチェンジングデックにて、Dingleの原案より不細工なのだがと認めつつ、『しかし余計なカードが残らない。エンドクリーンが全てだ』などと続けるあたり、実戦でやってるマジシャンだなと思わされる。
また後書きでも、さらっとだが演技者としての考えを語っている。クレジットに関しての、学究派でない立場からの意見は、なるほどこういう見方もアリだなと思う。
収録作中、一番気になっていたのは破る系2種、特にMatrix Torn and Restored Card。
これは4枚のカードで覆うタイプのマトリックスを、コインの代わりに破ったカードで行うものだった。全部集まった後、3/4まで復活する。んんん。
この現象で全復活しないのは、何だかちょっと違う気がするぞ
Torn and Restored Cardは良いハンドリングなのだが、Commercial Magic of J.C. Wagnerで類似の作品を読んでいたため感動は薄かった。
面白かったのはSpectral Silk。
いわゆる幽霊ハンカチを使うのだが、これのためだけに幽霊ハンカチ買おうかなと言うくらい良い。見栄えが良いし面白い。詳細は秘密。
あとパケット物としてAmbitious Classicのヴァリエーションが一つあるのだが、技法に淫することなく、クリアーな現象かつエンドクリーンという綺麗な構成。パケット物って、カウントだらけになって、余分を隠し持って、と、どうしてもぎこちない作品が多いので、この姿勢はよいですね。
けっこう難易度高いのだが、ボトムにあるカードを確かに見せた後、怪しい動き無しでそれがトップに上がってくるMarloの技法にはちょっと感動。これはうまくはまると不思議だろうなあ。
でも難しいなあ。
このプロット自体は好きではないのだが、もう一つ気に入ったところがあって、この手順はやってみたい。
総論、コストパフォーマンスの良い小冊子。
どれもWagnerのレパートリーとして十分に試されているから、外れはない。
Vanishing Ink Magicの商品紹介でも『値段で内容の価値を決めるなと言う好例』という紹介がされていたけれど、たしかに千円そこらでこの内容は素晴らしい。日本語でも、新訳して1500円ぐらいで出版すればいいのに。
ただ少ない収録数の中に、Torn and Restored Cardやギミック物などが多く、純粋なカードマニアはちょっとがっかりか。
新奇な技法や原理を使うタイプの人ではないのでCommercial Magic of J.C. Wagner があれば十分という気はするものの、解説の前置きや後書きからWagnerの顔が見えてくる。副読本としても$6の価値は十二分にあるかな。
しっかし。
これが$6、Commercial Magic of J.C. Wagner が$10ってのはバーゲンにも程があるな。
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