2016年12月29日木曜日

”Food for Thought” Ted Karmilovich





Food for Thought (Ted Karmilovich, 2011)




名前は耳にしていて、特に巧妙な仕掛けで評判が高いのだけれど、触れる機会がほとんどなかったメンタリストTed Karmilovichのレクチャーノート。仕掛けが完全に言語依存してそうなので買ってはないのですが、あのMother of All Book Testの考案者です。

このレクチャーノートでは氏のペット・トリック4作品を解説。


My Red / Black Test:Out of This Worldだが、観客が配るのではなく演者が判別していく形なので、厳密にはタイトルの通り『色当て』現象です。借りたデックで、観客が混ぜて、さらにガイドカードのスイッチなど不要で行えます。前段として同じ事を一度やらなきゃいけないのだけ冗長ですが、少人数相手なら問題なく場を持たせることができるでしょう。

The Dime and Penny:演者が持っているコインの種類を観客達が当てようとする。演者はその結果を予言している。仕掛けは単純ですが現象の焦点を変える事で、うまく隠匿しています。

Sensations:観客が直観によって事故現場の写真を当てる。すこし変わったアウトで、説得力がやや弱いように思うが、直接的でないので露見もしにくいか。

Murder, He Wrote:昔、パーティの余興で探偵ゲームというのが流行ったんですって。それを材に取った手順。観客の中から被害者と犯人が決められ、演者がそれを当てる。
演出が面白くて、演者が部屋の外に出ている間に、実際に犯行現場を演じて貰う。


手法は極めてシンプルで最小限、現象はすっきり、そして演出がしっかり、といった端正な作品群で、見る人にストレスがかからなさそうです。解決方法それ自体の派手さ/面白さは物足りないですが、焦点のずらし方が非常にうまい。現象の見た目にほとんど瑕疵がなく見事でした。

できればこの人の、手の込んだ作品も読んでみたい。


※最近Penguin Liveに出ておられました。演技は未試聴。

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