2013年7月21日日曜日

"Knuckle Busters Vol.2" Reed McClintock





 

Knuckle Busters Vol.2 (Reed McClintock, 2002)




指を痛めそうな作品の詰まったコイン小冊子。


収録は3作。現象はTrio in Three、Open Coins Across~Production、そしてProductionとばらばらだが、一貫してMcClintockらしい無茶さと、鮮やかさが発揮されている。


・Three with CSB
Gary KurtzのTrio in ThreeをCSBギミックで行えるようにした物。現象もやや簡素化されており淀みないが、一部、とても気を遣うハンドリングを用いている。McClintockは、まるで「自分は出来てるから問題ない」とでも言うかのように、こういう危うい箇所をそのまま放置するのでタチが悪いが、一方でそれがこのシリーズの読み所でもあるだろう。

元となっているKurtzの手順はとかく有名であるにも関わらず、氏のまとまった作品集Unexplainable Actsには収録されていないので、まともに練習したのはこれが始めて。コインが1枚ずつカードの下に移動した後、再び手に握ったコインが全て消え、よけておいたカードの下から現れる。あまり作例を見ないが非常に面白い手順と思う。
日本語ではマジックハウス刊行のレクチャーノート ギャリー・カーツのコインマジック に解説があり、持ってもいるのだが、訳が悪いのか元の文が悪いのか、私には中間部が判読不能だった。たしかビデオには収録されているのだったかな?


・Ninth Dynasty
Open Coins Across。見えている状態で、では無いが、手を開いた状態でコインが移動していく。特に手の甲から移動する所は、本当によくやるなあMcClintock。
上手く出来たら気持ち悪そうだがこれも難しい。
そしてCoins Acrossの最後、何故かコインが9枚に増える。

なぜだ……?


・Seven the Hard Way
7枚コインのプロダクション。McClintockの代表的な作品で、Geniiにも発表されていたように思う。7枚パームから始めてしばらくOne Coinの手順をやるなど、非常にパーム筋を要する流石の構成だが、なににも増してディスプレイがキモい。
手遊びのカエルみたいな形状で、むにゅむにゅと指の間からコインが出てくるのだけれど、こんなの他に誰が考えつくかと。


というわけで、以降の巻にあるようなテーマ統一は無いが、技法的にも現象的にも、そして独特の美意識においても実にMcClintockといった作品集。このまま演じるのは、どうしてもためらわれるけれども、練習はしておきます。

2 件のコメント:

  1. お久しぶりです。
    拳を破壊シリーズの中で、唯一この巻だけ持っています。
    Three with CSBは、そのうち動画にしてみようかなと思っていました。
    危うい箇所って、あの3枚目のとこかな。
    あそこは確かに微妙なハンドリングです。

    返信削除
  2. お久しぶりです。

    Trio in Threeは、そういえば以前見せて頂きましたね。Shanlaさんのリテンション・バニッシュがあまりに綺麗で、リテンション=不可能技法という認識をすっかり改めました。また銀貨が本当にかっこうよくて、後に僕もWalking Libertyを購入して、愛用しています。

    Three with SCBは、Kurtzのよりすっきりしていて好きなのですけれど、
    ・CSBの分離
    ・三枚目のロード
    ・まだそれぞれ両手にある事の検め
    などが、どうしようもなくぎこちなくなってしまいます。練習不足もあるのですが、文面のまま行おうとすると、ちょっと無理ちゃうかなという箇所もありまして、是非shanlaさんのタッチを見てみたいところです。

    拳破壊は、難しすぎて出来なかったり、コインが足りなかったりが頻発しますが、良くも悪くも他では見ないマジックがつまっていて面白いシリーズです。

    返信削除