2013年7月8日月曜日

"奇術探究 創刊号" 編・ゆうきとも





奇術探究 創刊号(編・ゆうきとも、2008)



現代的で刺激的な表題作とあと何か。


福田庸太による変わり種のO&W「水漏れと油漏れ」にフューチャーしたノート。

このプロットがとても面白い。
赤4、黒4で水と油を始め、徐々に枚数を減らして3・3、2・2としていく。
ところが最後になって、赤黒赤黒とかみ合わせたはずのカードが4枚とも黒になり、捨てたカードが赤4になっているというオチ。意外ではあるが合理的というか、うまく意識からハズされている感じがたまらなく素敵だ。


というわけでこれは凄く良いのですがその後がちょっとついて行けない。
殆どずっと、ゆうきとものゆうきともによる(ゆうきとものための?)バリエーション。

原案がカウントを排することで”ごまかし”の気配を消し、ラストを引き立てていたのに対し、ゆうきとも案は基本的にクラシックな技法の組み合わせで、プロブレムの解としては成立していますが、どうなんだろうねえ。特に遺漏での「各段階の説得力はやや弱くなったけれど、手順の目的は最後のオチなので、これくらいのほうがバランス良いのでは」という点については、個人的には全く逆の理解。

まあ他のO&Wと組み合わせたいという人も居るでしょうし、そのためにハンドリングの毛色が違うのも1手順くらいは有ってもいいとは思う、と擁護できなくはないか。けれどもね、漏水は記憶を頼りに3時間で再構成した手順と言うし、このノートの原稿自体、原案を見てから2週間しか経っていないそうな。
それは作品では無くただの習作ではないですか?


いやしかし、水漏れと油漏れはすごく面白いです。これのためだけに買っても損はない。

ただ、今やトリックサウルス(未見だけど)出てしまったし、あれ安いしなあ。「水漏れと油漏れ」に対してどう試行錯誤するかを愉しみたいという奇特な人にも、いろんな寄稿者を迎えた奇術探究5号が出ているようだし。とりあえず奇術探究 そろえたいって人か、あくまで文章で水漏れ油漏れ読みたいという人以外には、あまりメリットのない冊子になってしまった。

とはいえ文章で情報をストックできるのは個人的に非常にありがたく、映像よりも見直しが楽ですし、実際、表題作はよく読み直している。レイアウトもとてもよく、読みやすいです。


追記・スイッチ無しで変則オチのO&Wというと、同書では名前上がってなかったけど、SkinnerのOil and Water Rides Againとかも良いですね。

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