2013年6月21日金曜日

"Penumbra issue 7" 編・Bill Goodwin & Gordon Bean






Penumbra issue 7 (編・Bill Goodwin, Gordon Bean, 2004)



Magic Castleの司書を務める碩学Bill Goodwinが編集するマニアック・マガジン、Penumbra。



Goodwinについては、少し前にReflectionというDVDを見て以来、ちょっと興味があった。加えて先頃、Penumbra の9号に掲載されたというMuy Bueno Shuffleの動画を見る機会があって、それがまあ考えなくは無かったけど実行できるとは思ってなかった技法で、うわスゴイやと。こういうのが他にも載ってるなら、読んでみたいなあ。

そんなわけで、いまからでは揃わないだろうが買ってみた。
まあマニアックでしたよ。


Acorn's Progress:Roy Walton
Walton先生の小品。技法の用途と効率は素晴らしいのだが、現象にはさっぱり魅力を感じない。
手の中でカードを広げ、1枚表にする(スペードの10)。カードを閉じ、再び広げるとスペードのロイヤル・ストレート・フラッシュが表向きになっている。それらをテーブル上に出すが、よく見ると4枚しかない。デックを弾いて再び広げると、最後のスペードのAが表向きで出てくる。

Mirrorskill:Harrison Kaplan
通常のミラスキル(枚数の差を予言)→アキュレイト・ミラスキル(それぞれの枚数を予言)→さらに半分のカードだけで繰り返すが……
フルデック配らせるトリックを3回連続でやります。
ただし現象は面白いので、これが許される雰囲気でさえ有れば使えそう。それにペアで全部配り通して、色を判別するだけなので、そこまで負担でもないかな。セットもほとんど要らず、そういう意味では以外と手軽。Stewart Jamesの未解決プロブレムに対する解だそうです。


The Gypsy Foretells Further Than Father:Cushing Strout
Lie Detectorから、プロダクションへ続く長手順。
タロット的な占いが一緒に書かれたカードを使い、相手にカードを1枚選んでもらう。演者には見えないが、幸運の星が書かれたスペードの2。これを戻して混ぜる。相手の返答に合わせて、色、マーク、絵札か数か、の3つの山を作る。相手は嘘を言っても良いが、それぞれ選ばれたカードと同じパラメータのカードが現れる。
さらにTwo、Spade、と配ると、それぞれ3枚の2、5枚のスペードである。
ところで星に先端は幾つあった?と聞き、その数に合わせて配ると、そこからスペードの2が出てくる。 これは最高に運が良いぜ、こういうときはポーカーをやんな、と言ってpokerと配ると、その5枚がロイヤルストレートフラッシュ。

長いぜ。しかしよく考えましたねこんなの。これもベースはStewart Jamesとか。


Ear Candy:Nathan Kranzo
口にグミを含み、耳から指を突っ込んで取り出す。
指が口を内側からまさぐっている感じを再現しており、ハマると相当気持ち悪そうです。


Déjà Vu Cut:Chris Randall
三角を2つ作るフラリッシュ・カット。実はフォールス。
文章+写真の解説ですが、十分わかりやすいです。


Slap!:Shahin Zarkesh, Bill Goodwin
Aの間に挟んだ相手のカードが消え、ポケットから出てくる――、と思いきや。
正式名称をよく知らないですが、Off Balance Transpoとか、Imbalance Transpoとか言うのでしょうか。Bebelがよくやっている、4枚と1枚のトランスポジション。
トランスポが派手なのでそこに観客も読者も創作者も目が行きがちですが、この作品はその前の段階がとても丁寧に作られています。最初のディスプレイだけ、やや弱いと思うのですが、そこさえ上手くこなせたら、相手の手の中で選ばれたカードが消える箇所はとても効果的。
私などだったらElmsleyを使うような所で、ことごとく違うカウントを持ってくるあたり、マニアだなあと。こういうのをさらっとやられると、追えなさそうです。最後のトランスポジションも何通りか解説されていて面白い。


うむ、文句なくマニアック。ページ数はたった18頁ですが重い内容です。特にセルフワーク系のは、マジシャンでも追えない感じで、たいそう嫌らしい。とっておきのFoolerを探している方とか、こっそり手に取ってみてはいかがでしょうか。あと何冊か買いましたので、またおいおい紹介していきたいと思います。

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