2012年11月8日木曜日

”アウレリオ・パビアト レクチュアノート” Aurelio Paviato






アウレリオ・パビアト レクチュアノート(Aurelio Paviato,1989 ,前田知洋・訳)




マジックランド刊のPaviatoのレクチャーノート。大好きなんですよPaviato。氏のFISM Actは、比較的クラシックな手順にもかかわらず、初見ではまったく追えずに手ひどく幻惑されました。一歩先を行く巧妙さ、タイミングのずらし方などは何度見返してもほれぼれするほどで、氏の理論背景について著作を読んでみたいと長らく思っておりました。

で、なかなか扱っているお店がないこともあり遅くなってしまいましたが、先頃ようやく入手しました。邦語ではおそらく唯一の文献。洋書ではCarte E Moneteというまとまった本があるらしいのですがさすがにイタリア語には手が出せない。英語でもレクチャノートぐらいはあると思うのですが今まで見たことはないです。

で、内容に関してですが不満。

このレクチャーノート、技法二つ、手順二つ、エッセイであわせて12pと小ボリューム。
手順はサインされたコインで行うCoin Cutと、Fism Actでも演じていた3枚のコインの消失と出現。残念なことに手順は簡易な解説で、バニッシュ技法の解説などはなし。あの気持ち悪いレベルのヒンバーバニッシュ、なにかPaviato流のTipでもあるのかなあと期待していたのですが。

全体的に記述が散漫というか、文章構成が練られておらず、何を解説したがっているのかわかりにくい。議論としても重要なポイントが抜けていて、筆者の意図をくみ取るのにちょっと手間がかかります。

特にこのノートで最も重要な箇所であろう”手の検めについて”は、Paviatoがレッドへリングを用いて観客の思考を誘導するスタイル(未読ですがTamarizの言うMagic Wayと通底すると思われる)という知識がないと、この人は何を言いたいのだろうなあという感じ。
単純に僕の読解力不足もあるのでしょうが、どちらの手から検めるべきか、両手を検めるべきか、という点について、少なくとも文章だけでは議論がきわまっていないと思いました。
まあFism Actとか見返しながら読み直すと、氏の言いたいことも判ってくるのですが。

もちろんレクチャーノートってのは、その場で実演を交えて解説された物をあとで想起するためのメモ、という程度の役割なので、これはお門違いの難癖といわれても仕方ないですけれどもね。


あくまで副読本だと割り切れば、なかなか良かったです。じっくり読むといろいろと判ってくる。せっかくなのでもう一度くらいは読み返しましょうかね。日本語なので読むの自体は楽ですし。


しかし、もっと練られた文章で、
もっとたくさんの題材でもって、いろいろな話を聞きたかった。


イタリア語も勉強するしかないのかなあ。英語もままならぬというに。
スペイン語である程度置換可能とは聞くので、やはりネックはスペイン語なのだろうか。


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