2012年7月17日火曜日

"Equinox" David Britland






Equinox (David Britland, 1984)



David Britlandの個人作品集第三弾(たぶん)。


カードマジックメインの作品集ではこれが最後の一冊(たぶん)。




アイディア勝負で、未完成作品さえ載っけていた前二冊Dackade Cardopolis から較べると、良くも悪くもずいぶんと落ち着いた印象。


前半はいまひとつ面白くなかったのだが、Mexican Turnoverからおもしろくなってきた。実際にはMexican Turnoverというか、BoTop Changeに近い技法。以前、別の名前で見た気もするんだが思い出せないなあ。
作例の手順が3つあり、3つとも使用技法は同じながら、表現される現象・効果が異なっていて、改めてBritlandの頭の良さを感じた。


特に、Hofzinser AcesのヴァリエーションAustrian Acesは、実用手順としても十二分に通じる完成度。ちょっと解説が粗く、アディションの手法やカードの順番を整える手法は読者にお任せ、だったりするが、Aの並びは気にしなくてよいし、デックとの接触もなく綺麗。Twist現象は省かれているが、個人的にはすっきりしていてよいと思う。


あとこの巻はギャンブルものが多め。日本では文化的コンテクストがないこともあり、あまり好みのジャンルでもないのだが、この巻で一番面白かったのはこの章のTwo Stepというギャンブルもの。K4枚A1枚が、一瞬でA4枚K1枚に変わるクライマックスも派手でよいが、それよりなにより自分の手にだけ1枚多く配る策略がとびぬけて卑怯。
盲点とか凄い発想というわけでは全然ないのだが、自分でやってても騙されて気持ち悪い。


珍しくコインも2種類入ってる。カードはギミック使わないのに、こちらは基本ギミック。コインズアクロスと、銅銀トランスポ。後者は最後に2枚ともチャイニーズになるクライマックス付き。
ギミックを有効に使い、手順を簡易化するのはすごく良いと思うのだが、簡易化の果てに残った”唯一使う技法”っていうのがPalm Changeで、個人的にこれ凄く苦手なのだよ。構造的欠陥のある技法というか、少なくとも自分はいくら練習しても上達する気がしない。そんなわけで、この章の作品は読むだけで、実物では追っておりません。


総論。
やっぱり面白かったなBritlandは。技法の効果を引き出すのがうまい。いつかまとめ本が出たら嬉しいのだが、これ以降はPsycho-mancy があるくらいで殆ど作品は世に出ていないみたい。
マジック界隈にはずっと居て、Chan CanastaやDavid Berglasの本を書いたり、EMCに参加したり、たまにブログで作品発表したりはしているみたいだが、なんとなく作品集は出なさそうだなあ。残念。

ともあれBritlandはこれにて終了。
ライジングカードとホーンテッドデックの単品解説冊子があるが、今のところ手に取る予定は無い。

本書は実体本を買ったのだが、60頁ながらハードカバー。裸に剥く、もといダストジャケットを取ると、布装箔押しでとてもかっちょいい。

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