The Art of Revealing (Radek Hoffman, 2025)
Radek Hoffmanは先日Book of Mを読んだ。刺激に乏しい本だったが、著者には好感を抱いたようでこちらの本も買ってしまった。タイトルのRevealingは情報の開示の仕方、つまりは当て方のこと。副題はHow to create exciting climaxes to your mentalism and magic(あなたのメンタリズムやマジックに心躍るクライマックスを作る方法)となっている。
メンタリストの演技って似たり寄ったりじゃないか、また多くの手順はオチが読めて退屈じゃないか、というのが著者の問題意識だ。それに対して『著者が』どのように考え、どのように工夫してきたのかが、読みやすいエッセイと具体的な例で解説されている。タイトルから受けるイメージと異なり、あくまで『著者が』したことに留まるのがポイントで、これは本書の短所であり長所でもある。
たとえば演出の例に出てくるのは基本的に著者自身の手法で、他のアプローチの分析などはあまりなく、多角的とは言えない。示し方が重要なのでそこに至るまでの手法の解説はしない、という基本方針だったはずが手法解説を始めたり、どうも筆力・構成力には疑問がある。一方で小難しい言葉を使ったりせず、頭でっかちになることなく、基本的に自身の実体験として書かれ、それを無理に一般化しようともしていない。
Hoffmanは常識人で、メンタリズムのショーを実際に長くやってきたプロで、その手の届く範囲で書かれている。理論や考察に飛び抜けたところはないが、あらためて平易な言葉で語られており飲み込みやすい。オマケで、Hoffman自身が使っているという、ショーを構成するためのプリントまで付いてくる。
規模によらず、ショーをやる人、やりたい人、またHoffmanが言うように「メンタリストってなんか似たり寄ったりでは」「手順のオチが見えすいてないか」と思う人にはおすすめ。こういったテーマの本の常として、終盤は「いかに自分らしさを出すか」という話になるが、それでも自己啓発っぽくならないのもすごい。氏の人柄であろう。ただ繰り返すが派手なところはないので、趣味人が読んでも肩透かしかもしれない。
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