2014年2月26日水曜日

"Penumbra issue 10" 編・Bill Goodwin & Gordon Bean









Penumbra issue 10 (編・Bill Goodwin & Gordon Bean,2006)



碩学Goodwinの発行するPenumbra誌、その第10号。例によってよく練り込まれた手順や、ひと味違ったアイディアが光りますが、この刊は作品数すくないこともあってか、他の刊よりは軽いです。


The Sound Of One Coin Clinking:David Gripenwaldt

有名な禅の公案「隻手音声」めいたタイトルで、実際にそういう不条理は起こるのですが、それは現象として前に押し出している物ではないです。あくまで裏で起こっている事が不条理というか。そのためちょっと残念。

状況設定を書くとネタバレになりそうなので控えますが、応用範囲はごくごく狭そうなものの、マジシャン心をくすぐるおもしろいコイン・マジックのアイディアです。


Perfect Order:Shoot Ogawa
緒川集人のマニアックなトライアンフ。きわめてクリアーに表裏を混ぜた後、選んだカード以外の向きがそろうトライアンフ現象。その後、カードの順番もそろってしまう。

ここまでやるかというディスプレイ。ある意味ではJennings&Goodwin Displayを上回る物があります。また初期状態はPerfect Orderでないため、ちらっとですが表面を見せても大丈夫です。ただ全体的にハンドリングが難しいのでなかなか安定しなさそう。

Fat Brothers DVDのおまけで演じているのが、およそこれですが、しかしShootさん演技はいまひとつですね。平板で。


Triple Alliance:Roy Walton
Waltonの良さが僕にはどうもわからない。シンプルで力強い構成はよいのですが、1枚と4枚がトランスポ、その後おまけにデックの表裏が変わる!
という、おまけの意味がわかりません。

Color Shuffles (Part One):Ronald Wohl
前後編に分かれたColor Shuffleの前編。手法と、その基本的なアプリケーションを解説。
観客が(見た目上)よく混ぜた後、カットして上1/3程度を取り上げるのですが、そのパケットに含まれる赤いカードの枚数などを制御するというもの。
何の役に立つのだろうなあと思ったのですが、用法が色々あげられており、なるほどこういう使い方も考えられるのね、という事で創作の案出し過程として読んでておもしろいです。ただ現象が面白いかというとちょっと微妙かもな。
しかしまだ前半だそうで、これどう発展させるのか後半を楽しみにします。

なお次のissue 11が出たのは3年後だったようでこれは酷い。

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