2013年10月25日金曜日

"BEBEL レクチャーノート" 二川滋夫








BEBEL レクチャーノート (二川滋夫,1996)




フランスの変態、Bebelの数少ない資料の一つ。

Bebel単体での作品集というと、手に入るのはこれと、あとDVD Enfin le(仏語)だけではないでしょうか?(*)

内容はああいかにもというbebel節全開で、DVDとの重複もReset (Retro Repro)くらいしかなく、大変楽しめました。パームやVernon Transferを濫用する感じがたまらないです。

全体的に高い難度。収録数は10とDVDより断然多いです。意外にセルフワークっぽいものも有りますが、それですら「二人で配りながら自分はずっとセカンドディールしろ」とかけっこうきつい事を要求されます。Kings Nightなど、現象が入り組んでて、何がやりたいのかさっぱり不明のものもあり。しかしハンドリングのせいか、あんまりややこしい印象がないのが不思議です。

Collectorはどちらにも収録されてますが、全然ハンドリングが違っていて別物。タイトルも違う。
DVD版はデックの中にAをいれて、もぬもぬしまくった後、何故か挟まれて現れるというもの。
こちらはよけておいたAを広げると、その瞬間、間に現れるパターンです。かなりダイレクト。

同じプロットと言えば繰り返しのサンドイッチもあります。DVD収録のものが二回連続のサンドイッチなのに対して、こちらは四回繰り返して、しかも最後はサンドカードが消えるというしつこいもの。全体としては、ノート版の方が好きなんですが、DVD版は初段がすばらしく、見比べたり組み合わせたりして楽しんでいます。


あとDVDではさっぱりわからなかったBebelの台詞ですが、同書ではなんと「フランス語で判らないので、つじつまが合うように想像で書きました」とか書いてあって、二川先生そりゃないですよ。いや、手順読めるだけで十二分に有り難いのではありますが少し残念。


というわけで、全体的にむずかしいし、イロジカル、しかし不思議な魅力があります。
Bebelのパフォーマンス環境などを加味すると、構成の利点なり狙いなり、色々判ってくるのかなあとは思いますが、それにしても独特で、そうとう無茶です。文章だけだったらちょっと敬遠するレベル。しかし氏のタッチを知った上で読み直すと、それらを成立させるだけの技量の裏打ちや呼吸を感じられます。
つくづく面白いマジシャンです。


*:他はVallarinoとのセッションを納めたInspiration DVD 1&2程度でしょうか。単品なら、DL作品や、Fat Brothersでの出演もあったかな。仏語ではノートとか本とか出しているのでしょうか。
とはいえ同工異曲というか同工同曲というか、作風にはあまり幅が無い気もします。や、Inspirationとかとても見たいんですけどね。

7 件のコメント:

  1. きょうじゅ2013年10月27日 3:15

    ベベルキター!ベベラーとして書き込まざるを得ない。
    FISM94の頃にやっていたリセットを見てファンになりましたが(見たのは10年ほど後ですが)、
    このレクチャーノートはかなり難度が高いですよね。
    もはややつほどのスピードがあればなんでも出来そうといいますか。
    改訂版ですかね、こちらは(初版は図がなかった)。

    フランスのTV番組の録画を持っていますが、そこで彼は周囲だけでなく、
    直上からも撮られつつ堂々とクラシックパスをやっていました。すごすぎですw

    大学の頃、我が部にはベベラーが多く、先輩はUniversal Cardとか見せてくれて大変キモかった思い出。
    私はFollow the Red Cardの現象が気に入り一時期練習していたのですが、スイッチ部分がどうにも。。。

    なおサークルの先輩でフランス語が出来る人がいて、その方に通訳を
    お願いしていたはずなのですが、元のレクチャーノートは英語だったんですかねえ。
    仏語だったら同じ人に粗訳してもらっていたような気がしなくもないです。気のせいかもですが。
    ベベルは昔、フランス語以外が出来なくて、脚も悪いのであまり外国に出たがらなかったとか何とか。
    生で見たいカーディシャンの一人ですね。

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    1. ザ・ベベラー2013年11月20日 16:12

      そのTV番組はどこでみられるでしょうか?

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    2. youtubeに上がっていたように思いますがきょうじゅ氏の言及されてるのとは別かも知れません。 ココ→d.hatena.ne.jp/propateer/20090505/1241605415 かこっち→ http://twitter.com/propateer できょうじゅ氏にお聞きくださいませ。

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  2. べべラーキター!

    僕がファンになったのもその動画です多分。Repro Retroと、カード当て(?)からのオフバランスな変化現象にしびれました。最近、ダウンロード商品でRub a Dub dubを空中でやってて噴いたのですが、このノートの当時からやっておられたと知りびびりました。
    まあなかなか誰も真似しないよねえ、という。

    初版図無しですか。それはきつい。正直読んで解る気がしないです。図有りですら良くわかんないのあるのに(笑
    元になったのが仏か英かよくわかんないですが、ハンドリングだけだとあまりに意味不明な現象だったので、見かねた二川先生が筋の通るセリフを加えたとかなんでしょうか。

    ハンドリングや構築が独特で僕も大好きです。是非生で見てみたい。

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  3. ベベルは、20年ほど前にパリ市内のマジックショップで買ったビデオに入っていた演技を見たのが最初でした。
    当然PAL形式で、帰国してから見られないと分かり、専門業者に依頼してNTSC方式に変換してもらったのも良い思い出。
    そのビデオはフランスのマジシャンが数人出演したコンピレーション的なもので、現在に至るまで日本では見たことがないですね。

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    1. お返事遅れまして。

      流石、Shanlaさん珍しい物をおもちで。なにか特殊な演技はされてましたかね?Bebel以外の方の演技も気になります。
      フランス語はさっぱりなので、検索のかけようもないのですよね。

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    2. すみません、わざわざコメントしといて何ですが、もう最後に見たのが10年以上前で、内容ははっきり覚えてないですね・・・確かカードをやっていたという記憶はありますが。
      もちろんモノはあるんですが、ビデオ本体も、再生機器も押入れの中で^^;

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