Outnumbered (John Bannon, 2024)
Barrageに続いて、フランスの3 Monkeys Pub.から出たJohn Bannonの新作ノート。100ページちょっとで今度は数理系のカードマジックが6手順です。
まず『数理マジックの復興』を歌い上げる序文が素晴らしい。現代だからこそ輝く数理マジックがあるという話には、なるほど、すっかり説得されたし、続いて提示される手順Game, Set, Match!もこの上なく嫌らしい。――のではあるが、全体で見ると序文の趣旨に合致する手順は半分くらいなのが冊子として勿体ないところ。手順はすべて原理系だし、総じて完成度は高いのですが、テーマとしてややブレてしまったところがある。序文で言ってた『現代の数理マジック』で固めて欲しかった。そうしたら傑作ノートだったでしょう。
手順の完成度はどれも高いし、数理縛りではあるがMentalissimoやDestination Zeroのときほど堅苦しくもなく、実演して楽しそうな感じ。少枚数の調整やカードの選ばせ方なんかは、DaOrtiz(やJosheph Barry)以降の目で見ると、ややハンドリングに固い所はあるかもしれない。でも細やかな技巧や工夫はやっぱり流石Bannonである。
最近のBannon作品集として、Barrageとセットでおすすめ。薄いしね。また数理手品(特に観客にも負担を強いるタイプの)が好きなら、序文だけでも励まされるものはあるかも。