
ブランク (タナカヒロキ、2011)
ダブルブランクカードを使った4手順。必要なダブルブランク5枚、パケットケース(これも実は必要)、演技動画のURL入り。
収録作品は、ビジター、トランスポジション、カニバルカード、リセットの4つのクラシカルな手順のダブルブランク版。どうでもいいけどDBって書いてあるとダブルバックかダブルブランクかわからんのだな。両方とも使用する手順とかあったら困るな。
ダブルブランクを使い、技法難易度を低めのままに、かつ構成を複雑にしない、というマニアックな企みを、しかしかなりのレベルで達成しているよい冊子でした。各部、各動作の考察、ダブルブランク版の長所と短所なども詳しく解説されていて為になります。
やや解説が細かすぎてリーダビリティが損なわれている気もするが、まあそれは手品的な部分とは関係ありません。
企図はマニアックながら、出来た作品は非常に見栄えもよく、一般向きにも良いと思います。ブランクカードという時点で、とても特別な雰囲気が出ますしね。
ただ、ブランクの中に現れるたぐいの現象は、思ったより視覚効果が良くなかった気もします。Beeをスプレットしたときのような感じ、あまり枚数や、カード間の境界がはっきりしないせいでしょうか。
そういう意味で一番良かったのは”夜霧の中へ”(カニバルカード)。ブランクの中に消える、というのは上手く演じると非常にミステリアスで美しい。
またブランクならではのサトルティが横溢しており、これは生で見たら手ひどく騙されたんちゃうかな。出現部分だけ、前述の理由で余り見栄えが良く感じられなかったので、なにかしら別の方法を個人的に考えてみたいなと思いました。
他三作も、どれも面白いだけでなく、色々と自分でも考えたくなります。
*Lithopone:最初に置くカードを3枚から2枚にすると、一動作減らせる。
*Lithopone:ブランク4枚で構成すると、GHWのOptical Alignment Moveが使える。
とか前出の、カニバルでの出現段などなど。
面白いコンセプトで、出来た作品も面白く、また自分でも手を加えたくなるようないい冊子でした。こういう作品集がもっともっと国内から出てくれると非常に嬉しいです。この冊子の唯一の欠点と言えば、クレジットが不十分ということでしょうか。”夜霧の中へ”の1段目のサトルティは寡聞にして知らなかった(あるいは覚えていなかった)ので、原典があるなら知りたかったのですが。
とまれ、面白かった。おすすめです。