2017年4月21日金曜日

"Close Culls" Harapan Ong



Close Culls(Harapan Ong, 2014)


Spread Cullとその派生技法を扱った小冊子。

まずまず面白い内容ではあったのだが、解説は簡素であるし意図や演出に力が入れられているわけではなく、文書という形式のメリットはあまりなかったかもしれない。ダウンロード・ビデオCullologyやMAGIC Magazineからの再録も多い。

解説されている技法だが、メインのスプレッド・カルは標準的な内容。派生技法はどれもちょっとぎこちない気がする。特にThe Buckle Replacementは、上手くやっても、構造的につっかえが生じそうな感じ。動画見る限りHarapan氏本人はかなりスムーズにできてるみたいなんだけど、何かコツがあるんだろうか。

トリックは12作品が解説されており、定番のサンドイッチ現象以外にもプリンセス・カード・トリックやメンタル・リバースみたいなものまでカルでなんとかしようと試みている。成功しているかというと微妙で、やっぱりスプレッドの中でカードが離合集散するやつのほうが光ってはいるが、面白くはある。

白眉はThe Buckle-llectors。4枚のKが一瞬でスプレッドのバラバラの位置に散り、もう次の瞬間には真ん中に集まって選ばれた三枚を挟んでいるというコレクター。同じくScattered Sandwichも良くて、New Jack Cityの親戚みたいな現象。4枚のAが表向きでデックの真ん中にあり、カードを広げていってAより上から1枚、Aより下から1枚選んで覚えて貰う。もう一度デックを広げるとAが移動していて、選ばれたカードをそれぞれサンドイッチしている。

先述の「ちょっとつっかえそう」な技法を使っているのでなかなか難しいが、スムーズに出来さえしたらどちらもかなり理想的な出来だとは思う。


これでカルを学ぶというには向かない。既にある程度以上カルが出来る人向け。確かにまだまだ研究しがいが有りそうなテーマと思う。でもこの内容なら、文章でやる意味はそんなになかったんじゃないかな。どうだろう。

また、本人も実際に演じたことはないという技法が最後に2つ紹介されててそれは僕けっこう内容自体も試みとしても好きでした。