2013年9月29日日曜日
"Coins on Edge" Kainoa Harbottle
Coins on Edge (Kainoa Harbottle, 2003)
Kainoa Harbottleによるエッジグリップに焦点を当てた作品・技法集。
111頁にわたってみっちりコインの技法が詰まった作品集。はっきりいって尋常じゃ無いくらい難しい。確かにわたしゃコインマンではないのですが、そこまで不器用でも無いはず。なのに、なぞるのさえ困難な作品が幾つも。
Kainoa氏の作品、実はあまり好きでもないんですよ。なんか手付きが不自然に思えて。特に本書の集大成的手順Pendulum Hanging Coinsは、動画で見たけど労力の割にそこまで不思議にも見えないのだよなあ。
なのになんでこれを買ったか? だってKainoa氏、確実にヘンタイじゃないですか。
McClintockのおかしさが「なんでそういう発想に至ったのか判らない」だとすると、Kainoa氏は「何を考えたかは解るけど、なんで実行できた」という感じ。基本的には既存技法なのだが数がおかしかったり両手でやったり、とにかくとにかく難易度が高い。
本書は(ディープ)エッジグリップをメインに扱った技法・作品集。Soft Coin×4を推奨。
前半はずっと技法のみの解説。「本来の用途を知らないまま技法だけ読んで、自分のいま抱えている問題にどう組み込めるかを考えるとワクワクして溜まらないよね!」みたいな事が書いてあり、なるほどなあ。僕はそういう純粋な技法マニア的心を最近失いつつありますが、コインだと技法の解説自体が大変長くなるので、別個の解説は良い判断と思います。
Edgy Work:1枚のコインの消失、出現およびファン様にコインを持った状態からの消失など基本的な技法。Edge Flip Stealは非常に使い勝手が好さそうです。
Even Edgier:複数枚スタックのエッジグリップ、および複数枚のPalm Transfer。私は持っていないのですが、Soft Coinだとコインがスタックでまとまるので、だいぶ難度が下がるはず。この章は本書で一番有用性が高そうです。
Foreign Edges:六人部パームの章。Kainoa氏、ムトベパームが好きらしいです。技術のみでレイヴン現象(手をかざしただけでコインが消える)を起こすFlying Wombatは必見です。純粋な技法ごり押しの他に、こういうとんでもない手法を開拓することがKainoa氏の面白いところ。
Kainoaと言えば個人的には、このFlying Wombatと、ムトベパームを使った複数枚の消失(NYCMS DVD)が一番好きでした。残念ながら後者の手法は、同書では解説されてませんでしたが。
Down the Edge:複数枚のコインを隠した状態でのコインロール。むずかしい。
Edgy Transpositions:エッジグリップを用いた、CSトランスポの例。
Odd Edges:サトルティ他。
Over the Edge:手順集。ここまでの技法が全て、かなりの精度で、両手で、できている必要有り。
難しいです。難しいです……。
コインの出現、ハンギングコイン、コインズアクロス、3 Fly と言ったところで作品数自体は少なめ。
内容が難しい上に、ページ数も多く、Kainoa氏の文章も私程度の語学力ではやや厳しく、となかなかしんどい本でした。作品にしても技法ごり押しというか、あまりマジック的なひらめきを感られず、そういう点ではGarret TomasのDVDとか買った方が間違いなく楽しめると思います。Hanging Coinも、Garretのは不思議でしたし、そんな難しくも無かったし。
ただ、純粋にこれだけコインが操れるようになると、見える物が変わるだろうなあとは思いました。実は全然懲りて無くて、他の巻も読んでみたいです。自分にはなかなか出来ないレベルですが、こういう頭おかしい(褒め言葉)人の作品は大好きです。まだけっこうな量の本があるので楽しみ。
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