バーマジシャン、J.C Wagnerの実戦的なマジックを集めた作品集。
傑作の誉れ高く、松田道弘のリストにも載っているんだが、入手困難本。
正確に言うと、入手困難だった本。
某日、某マジック古書サイトで発見し、舞い上がる。
本が到着した翌日、L&L 公式サイトにて電子書籍版が発売される。
お値段$9.99。
e-book化するのはまだいい。L&L-e の存在を知ったときから覚悟はしていた。
でも安すぎる! SkinnerやBannonはもうちょっと高いじゃない。
なにそれ千円って。あああああああああああ。
まあいいんです、$50の価値はあったと思うし。それにやっぱり紙媒体が好きだ。
でも自宅製本の可能性をちょっと真剣に検討していこうかと思った今日この頃。
さて中身の話。
バーマジシャン、J.C Wagnerの実用的なマジックを集めた作品集。
不思議でインパクトが強く、ハンドリングがクリーン、そして殆どがセットアップやギミック無し、というなかなかに非の打ち所のない内容。
似た傾向としてPaul CumminsのFASDIUというノートを思い出したが、あちらがかなりハードな技法と、マニアックな現象、そして読みにくいレイアウトであったのに比べると、こちらは技術的にも現象的にも文章的にもだいぶ楽。
現象はクラシックな物を一通り取りそろえている。有名な天井に着くカード、ジャンボカードでのトーンアンドリストアード、A アセンブリ、コリンズAs、Twisting コレクター、Underground Transposition、トライアンフ等々。Coin MatrixやCoin Through Tableもある。
輪ゴムを掛けたデックからカードが飛び出してくる現象と、Estimationの章が個人的には気に入っている。特に後者は、単純にEstimationだけを用いるダイレクトなトリックから始まり、失敗したときに移行できる別トリックまで解説されていて、Jazzマジック素材集としても優良。
あとGambler's Copのハンドウォッシングも、パーム好きには嬉しかった。
Twistした後にコレクターみたいな複合技や、ギミックなしワイルドカードなんかは、ちょっとどうかとも思うのだが、まあこの辺は好みの問題だろう。
あと4Aアセンブリの章では、AXXX→XXXXではなく、AXXX→XXXになるなど、他ではあまり見ない表現方法が多く、好みではなかったものの、なかなか新鮮で練習のしがいがあった。
マジック、特にカードマジックの本には、技法や現象の組み合わせから可能性を探っているような研究書というのが結構ある。JenningsやWalton、Hartmanあたりが特にそうだろうか。作品点数が多く、読んでいて面白くはあるのだが、多くの場合、個々のトリックはマジックとして見せるには足りず、レパートリーに組み入れるには相当の苦労を要する。
一方、本書の作品はどれも、確かな実戦経験を通じて磨かれてきた作品であり、現象のテンポ、ハンドリングなどの洗練度がとても高い。勿論それはWagnerのテンポなので、修正は必要であるものの、レパートリーに組み込むのは比較的容易だろう。
本人解説ではなく、作品構成の詳細な意図などは語られないのだが、それぞれ実戦を通じて取捨選択とブラッシュアップを繰り返してきた作品、背後にあるWagnerの意図や思想、経験を十分に内包している。それを考えてみるのも面白い。
おもしろかった。おすすめの一冊。
特に、レパートリーを増やしたいって人。
さて中身の話。
バーマジシャン、J.C Wagnerの実用的なマジックを集めた作品集。
不思議でインパクトが強く、ハンドリングがクリーン、そして殆どがセットアップやギミック無し、というなかなかに非の打ち所のない内容。
似た傾向としてPaul CumminsのFASDIUというノートを思い出したが、あちらがかなりハードな技法と、マニアックな現象、そして読みにくいレイアウトであったのに比べると、こちらは技術的にも現象的にも文章的にもだいぶ楽。
現象はクラシックな物を一通り取りそろえている。有名な天井に着くカード、ジャンボカードでのトーンアンドリストアード、A アセンブリ、コリンズAs、Twisting コレクター、Underground Transposition、トライアンフ等々。Coin MatrixやCoin Through Tableもある。
輪ゴムを掛けたデックからカードが飛び出してくる現象と、Estimationの章が個人的には気に入っている。特に後者は、単純にEstimationだけを用いるダイレクトなトリックから始まり、失敗したときに移行できる別トリックまで解説されていて、Jazzマジック素材集としても優良。
あとGambler's Copのハンドウォッシングも、パーム好きには嬉しかった。
Twistした後にコレクターみたいな複合技や、ギミックなしワイルドカードなんかは、ちょっとどうかとも思うのだが、まあこの辺は好みの問題だろう。
あと4Aアセンブリの章では、AXXX→XXXXではなく、AXXX→XXXになるなど、他ではあまり見ない表現方法が多く、好みではなかったものの、なかなか新鮮で練習のしがいがあった。
マジック、特にカードマジックの本には、技法や現象の組み合わせから可能性を探っているような研究書というのが結構ある。JenningsやWalton、Hartmanあたりが特にそうだろうか。作品点数が多く、読んでいて面白くはあるのだが、多くの場合、個々のトリックはマジックとして見せるには足りず、レパートリーに組み入れるには相当の苦労を要する。
一方、本書の作品はどれも、確かな実戦経験を通じて磨かれてきた作品であり、現象のテンポ、ハンドリングなどの洗練度がとても高い。勿論それはWagnerのテンポなので、修正は必要であるものの、レパートリーに組み込むのは比較的容易だろう。
本人解説ではなく、作品構成の詳細な意図などは語られないのだが、それぞれ実戦を通じて取捨選択とブラッシュアップを繰り返してきた作品、背後にあるWagnerの意図や思想、経験を十分に内包している。それを考えてみるのも面白い。
おもしろかった。おすすめの一冊。
特に、レパートリーを増やしたいって人。
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