2026年6月29日月曜日

"Homage: Honoring The Classics" Francisco Mousinho

Homage: Honoring The Classics (Francisco Mousinho, 2019, 2025)


ポルトガルのマジシャン、Francisco Mousinhoのレクチャーノート。A5で42頁。クラシック・プロットのカード手品を4つ解説しています。タイトルは物々しいのですが、実際には著者が十代の頃に取り組んでた手品群ということで読み味はだいぶ軽いです。クラシックの研究とかそういうもんではありません。

扱うプロットはTriumph、4 of a Kind Production、Do as I do(デックを2つに分けて行うやつ)、Collectorの4つ。Triumphと言いつつMayhewのFreedomだったりと、必ずしもクラシックそのものというわけでもない。どれもちょっと独特の工夫があって面白いです。特に4 of a Kindは、4枚全部カルは無理があるよね、とか、途中でエスティメーションしたりとか、面白いバランス感覚でまとめています。

大きく期待して買う冊子ではないと思うけれど、何かのついでに読む分には悪くない本でした。

2026年6月6日土曜日

"Knytkalas" Tom Stone

Knytkalas (Tom Stone, 2026)


Tom Stoneの最新ノート。タイトルはスウェーデン語で『持ち寄りパーティ』みたいなこと。タイトル通り、バラエティ豊かな手品が10作集まっています。かなり面白くておすすめです。

10作中の7作がカードですが、奇妙な味のパケット・トリックから、カードを破くやつ、カードアクロス、自身の売りネタを使った現象まで、手法も規模もいろいろ。特に本ノートの目玉、Tears of Osirisはすごい。サインされたカードを4つに破り、それが1枚ずつジョーカーの下に移動していくのだけれど、最後、破れた4枚がジョーカーになっており、ジョーカーがサインされた観客のカードになる大作。ちょっと謎現象ではあるかもだが、おもしろい企みがいくつもある。

カード以外は、タバコ巻紙の復活、紙玉と帽子の現代版。あとサムチップを使ったギャグ手品。最後のやつはコンベンション等で馬鹿ウケでしょう。こういうネタも解説されてるのがすごくいいですね。

Tom Stoneの作品はどうにも力業が多く、本書でもそう感じる場面はちょくちょくあるのですが、一方で「たくらみが無いと面白くない」と度々書かれていて、その通りしっかりタネの楽しみもある。またTomas Blomberg、Henrik Holmbergからの寄稿もあって、そういう面からもバラエティ豊富です。

ただTomas BlombergのOdd(s) Triumphですが、これは定番技法を使い、定番現象を組み合わせて一般観客に見せてみたら、なんか演者の思惑とは全然違うウケ方をする場合があった、みたいな手品。トライアンフとして手法や原理が新しいわけではないので、これだけを目当てに買うのはやめたほうがいいかも。

とはいえ収録作の幅が広く、それぞれ面白いので、誰が読んだってひとつはヒットするでしょう。大おすすめ。