2100年4月25日日曜日

とびら

BASEにて、以下の本を翻訳販売しています。

Thinking the Impossible by Ramón Riobóo

52 Lovers, Adventures in Wonderland by Pepe Carroll

ダリアン・ヴォルフの奇妙な冒険 フロリアン・ズィヴァリン

Plots & Methods by Michał Kociołek

2026年6月6日土曜日

"Knytkalas" Tom Stone

Knytkalas (Tom Stone, 2026)


Tom Stoneの最新ノート。タイトルはスウェーデン語で『持ち寄りパーティ』みたいなこと。タイトル通り、バラエティ豊かな手品が10作集まっています。かなり面白くておすすめです。

10作中の7作がカードですが、奇妙な味のパケット・トリックから、カードを破くやつ、カードアクロス、自身の売りネタを使った現象まで、手法も規模もいろいろ。特に本ノートの目玉、Tears of Osirisはすごい。サインされたカードを4つに破り、それが1枚ずつジョーカーの下に移動していくのだけれど、最後、破れた4枚がジョーカーになっており、ジョーカーがサインされた観客のカードになる大作。ちょっと謎現象ではあるかもだが、おもしろい企みがいくつもある。

カード以外は、タバコ巻紙の復活、紙玉と帽子の現代版。あとサムチップを使ったギャグ手品。最後のやつはコンベンション等で馬鹿ウケでしょう。こういうネタも解説されてるのがすごくいいですね。

Tom Stoneの作品はどうにも力業が多く、本書でもそう感じる場面はちょくちょくあるのですが、一方で「たくらみが無いと面白くない」と度々書かれていて、その通りしっかりタネの楽しみもある。またTomas Blomberg、Henrik Holmbergからの寄稿もあって、そういう面からもバラエティ豊富です。

ただTomas BlombergのOdd(s) Triumphですが、これは定番技法を使い、定番現象を組み合わせて一般観客に見せてみたら、なんか演者の思惑とは全然違うウケ方をする場合があった、みたいな手品。トライアンフとして手法や原理が新しいわけではないので、これだけを目当てに買うのはやめたほうがいいかも。

とはいえ収録作の幅が広く、それぞれ面白いので、誰が読んだってひとつはヒットするでしょう。大おすすめ。

2026年5月22日金曜日

”Elements” Lance Pierce

 Elements (Lance Pierce, 2010)


Lance Pierceのレクチャーノート。元々Roger Klause In ConcertThe Award-Winning Magic of John Cornelius(どちらも未読)の著者として名前だけは知っていたのですが、Dan and DaveやVanishing Incから出た動画を見て驚きました。カードもコインもめちゃくちゃ上手い。クラシカルな手順はもちろん、カメラトリックみたいなビジュアル現象も平然とやる。それで御自身の本は出されていないのかしらと探したところ、Lulu(自費出版サイト)からこのノートが買えました。

カード5手順、コイン2手順、エッセイ3つ。ノートではあるのですが、サブタイトルがthe lecture, the bookとなっており、単なるノートじゃないぜという自負が感じられます。A4で84ページ。実際かなりしっかりした解説とエッセイが収録されており、当時基準の『レクチャーノート』以上のものでしょう。

カードはジェネラル・カーズ(※ジェネラル・カードではない)、エース・アセンブリ(BannonがMirageで発表したものの改案)、説明の難しい小品(WaltonのA Switch in Time?)、しっかりしたワイルドカード、オイル&ウォーター。コインはCSB(CSBギミックではなくダブルフェイスを使用)、単売されたけど絶版になっているChinese Charming Challenge(Recharmed, I'm Sure)。

動画ではとても滑らかで上手いのですが、本書で解説される手順もとても丁寧に構成されており、さらにハンドリングの細かな部分までしっかり解説されています。使わないパケットをテーブルに置く時の持ち方、返し方、置き方まで。カード手順は全体的に長手順でやや地味ですが、コインは丁寧かつ現象がはっきりしていてインパクトも高いでしょう。

エッセイも優れており、技法の細部の詰め方、なぜ技法が見えなくなるのか、クロースアップの演出のあり方について。特に技法関連のエッセイでは実際の技法を材に取り、適用方法を具体的に示してくれます。

と、非常にいい本のようなのですが、これがけっこう文章が読みづらいのです。説明が細かいので余計に。確かに『ノート』には留まらない内容ながら、『Book』と言うには推敲不足の感もあります。まったくゼロから本書を読んで内容を100%享受できるかといえば難しいと思います。

なので、書籍を紹介するブログでこんなことを言うのは負けなのですが、まずはVanishing incから出ているダウンロードSilky Smooth Card Magicを買ってください。それでもっと知りたくなったら本書を買いましょう。私はこの本のコイン手品と、あと水油がかなり気に入ったのでしばらく練習します。

2026年5月16日土曜日

"The Expert" Michał Kociołek

The Expert  (Michał Kociołek, 2019)


Michał KociołekのAny Poker Hand Called Forプロットのノート。観客が自由に言った役を配ってみせるというこのプロットは、単売トリックPolish Pokerから最新作Extra Plots & Methods所収の50/50 PokerやPoker Player's Dreamまで、Kociołekのライフワークのひとつです。本書はとてもマニアックで研究書と呼ぶにふさわしい内容。大きく3つの内容からなっています。スタック、シャッフル、手順。個別に見ていきましょう。


スタック:このプロットとスタックの歴史が子細に解説され、そのうえでKociołekの改案が示さます。歴史はとても面白かったのですが、Kociołekによる改善点は、正直なところ私にはそこまでピンと来ませんでした。このプロットにちゃんと取り組んでる人や、この類いの場合分けスタックに明るい人じゃないとありがたみが分からなさそう。

シャッフル:この冊子の宣伝には”Everything from a genuinely shuffled deck(完全に混ぜられたデックから)”とあるんですが、これはまあ嘘です。前の項で『スタック』と書いた通りこのプロットはスタックを使います。しかしながら、たぶん本人から見せられたら「完全に混ぜた」と思わざるを得ないと思います。例の『デックをいくつかに分けてそれぞれ混ぜてもらう』策略を使うんですが、これまで見た中で一番納得のいく使い方でした。これはすごい。だいぶ難しいんですが、でもすごい。

手順:Any Poker Hand Called Forは、しかし現象としてどうなんだという問題があります。トップからそのまま配るのは雑だし、かといってポーカーらしく複数人のハンドを配ると時間が掛かる上にフォールス・ディールで上手くやったのでは感が出てしまう。……そういった問題意識がKociołekにもあったのかは分かりませんが、ここでは2つの表現形が提示されます。ひとつめの"Odds"は観客がカードを選んだ後にリフル・シャッフルをすると、観客のカードの周りに選ばれた役のカードが集まるというもの。もうひとつの"The Wisdom of Crowds"は観客がカットする趣向(BannonのDirected Verdict)。特に後者はすばらしく面白くて、私は初めてAny Poker Hand Called Forをやりたくなりました。ただいちばん厳しい場面に厳しい技法を連続で持ってくる構成なのはどうなのか。確かに自由度は極めて高いのですが……前者と後者のあいだくらいが私の性には合っています。そうしたらカットした観客にそのままめくらせることも出来るし……どうですかね?


というわけでMichał KociołekのAny Poker Hand Called For冊子でした。高度ですがとても面白かった。私は十分には享受できていないのですが、それでもこのプロットの良さがやっと感じられた気がします。このプロットのマニアには怒られるかもしれませんが、エース・プロダクションよりは観客の自由選択があり、任意の4 of a kindプロダクションよりは演者側の負担が少ない。

このプロットに興味があるなら必読ですし、プロットのマニアも必読でしょう。そうでなくとも、現代の巧妙な小スタック手品をやるなら大いに勉強になります。

2026年5月6日水曜日

"The Japan Tour" Moritz Mueller

The Japan Tour (Moritz Mueller, 2024)


Moritz Meullerの日本レクチャーのノート。コインで有名になった人ですが、このノートに収録されているコイン関連は1つだけです。しかもその1つはエッセイ。コイントリックは無くて、ほぼカードです。一応それはわかったうえで、いまどきのカード手品が読みたいなと思って買いました。

けっこうおもしろかったです。錯覚を使った、大胆ながらシンプルなハンドリングはとてもモダン。元の手順にあった無理を別の手段で解決するのもなかなか上手くて、特に、角度の厳しさを演出に入れ込んでしまうペンの消失はよかった。とてもいい手順だし、他への応用も効く策略だと思います。エッセイ系もかなりよく、コインのフォールス・トランスファーについての考察はしっかりしたものでした。

ただ、いちばん期待したのはHollingworth Shuffleのバリエーションとそれを使ったトライアンフだったのですが……これはちょっと期待外れ。Hollingworth Triumphの面白く、しかし難しいポイントはあのディスプレイだと思うのですが、そこは省かれていました。残念。まあHollingworth 本人もあのディスプレイはあんまりやってないみたいなんですが。


King Castlingの改案、ペンの消失、コインのトランスファーのエッセイ、錯覚を使った4枚中2枚のフォースなどが特によかった。

2026年4月30日木曜日

"Induced Thoughts" Brandon Bell

Induced Thoughts (Brandon Bell, 2024)

元々はFun Ways to Pry Open Your Soul: And other assorted ways to pass the time(2006)という本に収録されていたそうです。収録作をアップデートして単売していくシリーズの一作とのことで、Secrets of Dr. Deeというところで売っていました。……ということで先日Discernmentというノートを買ってイマイチだったのですが、そのとき一緒に買ったこの冊子も同じ人の同じ来歴のノートでした。


現象は念写。観客が思っただけのものがポラロイドカメラに映る。観客のスマホを使ったり、そのものが実体化したりと、現象にはいろいろ広がりはあります。要するにはフォースです。タイトルからしてそうですね。induced thoughts(誘引された考え)。

この現象を成立させるだけのクリーンさがあるフォースです。フォース自体は昔から存在するものですが、あまり用例は多くなく、際物のイメージです。確実性に問題があること、それから一人での練習が難しいのも要因でしょう。地位的にはサウンド・リーディングとかに近いですが、それよりさらにマイナーか。


本ノートでは、特別な工夫は特にありません。元の原理が抱える問題を解決していたりとか、別の切り口とかもない。ただこういった原理では、実践者がちゃんといるという記録はとてもありがたいものです。野心のある人はここをスタート地点にいろいろ考えてみるのもいいかもしれません。

あとこのフォースについては確実性の他にも、実際には即席サクラのように機能しないか、という疑問があるのですが……どうなんでしょうね? そうだとすると現象のインパクトがだいぶん削がれるように思います。

2026年3月11日水曜日

"Starting Fires 1~3" Alexander Hansford

Starting Fires 1~3 (Alexander Hansford, 2025)


Neat ReviewのAlex Hansfordによる初心者向けカードマジック単品冊子シリーズ、その最初の3巻です。

 さて初心者向きをうたう本はたびたび出ますが、成功していることはあまり多くありません。実際に多くの初心者に読ませ、フィードバックを得るということをせず、著者の頭の中に居る架空の初心者を相手にしていることが多いからでしょう。本書はどうかというと、やはりうまくいっていないように感じます。とはいえこのレビューも私の頭の中に居る架空の初心者基準によるもので、現実の初心者からフィードバックを受けたものではありませんし、そもそもNeat Reviewから冊子を買うような奴はその時点で初心者では無いかもしれませんが……。

 1冊1トリックで、前半はエッセイ、後半はトリック。この前半エッセイですが、なんと各巻共通でまったく同じ内容です。なので2冊目以降は読む必要がありません。せっかくならそれぞれのトリックに紐付いた手品の重要な側面について語って欲しかった。

 そして手順ですが、技法こそ使いませんが、ラフな構築をラフな演出でごまかす必要があったり、現象が複雑だったりして、かつそれをフォローできるほど説明が丁寧なわけでもありません。総じてマニア向きに思います。それはそれとして造本は素晴らしくかっこよくて、この点は初心者からマニアまで万人向きです。棚に一冊は欲しい。


各巻の収録トリックは以下の通り。

1巻:A Studied Display of Real or Pretended Feeling (for two)

 観客ふたりがそれぞれデックを持ち、カードを選んだ後、2つのデックを混ぜ合わせる。その状態で、観客が互いのカードを当ててしまう。

 これが飛び抜けてよく感じました。古典的なセルフワークのフォース2つを直接的に使ってしまう所はいまいちなのですが、赤青のデックが互いに混ざっていく視覚効果がすばらしく、またこの趣向が面白いかたちで現象にも寄与しています。おすすめ!


2巻:Searching, Seeing, Guessing Star Signs.

 観客がカードを選んで戻す。演者はカードを配り、観客に選んだカードのあるパケットを聞く。そのパケットを配っていってもらうが、演者がとつぜん制止すると、次のカードが観客のカード。

 技法こそ使いませんが、操作のための言い訳であることが見え透いた演出をこなさなければならず、初心者向きとはあまり思えません。非常にフェアでヒントもほぼ無く、不可能性の高いマニア殺しのカード当てとしては佳作。


3巻:One Gestural Thought Reading

 観客に少枚数のカードを取って数えてもらい、それに基づいてカードを選んでもらう。その後、デックの上のカードを見ていくが、それによって観客のカードが徐々に明らかになっていく。最後にデックを広げると、選ばれたカードがひっくり返っている。

 パケットを取って秘密の数字を……という例のあれを使うのと、現象の構成がちょっとややこしいのとで一番いまいちに感じる。例によって演出もちょっと難しい。


 技法こそ使いませんが難易度は高く、解説も一面的で、あんまり初心者向きには感じません。また前述の通りトリック以外は共通の内容なので、通して読む意味もあまりないです。欲しいトリックの巻だけ買えばいいでしょう。私としては、某フォースが許容できるなら1、不可能性の高いストップトリックが欲しいなら2がおすすめです。

2026年2月22日日曜日

"Evidence of a Well Spent Life" Helge Thun

 Evidence of a Well Spent Life (Helge Thun, 2026)


Helge Thunはかつてのドイツ若手マジシャン・グループFlicking Fingersの一人。同グループが出したDVDThe Movieは遊び心にあふれた面白映像で超おすすめです。ただ同作中でのHelgeの影は薄く、私はあまり記憶にありませんでした。

本書はそのHelge Thunのカード・マジック作品集。とても面白い本でしたが、先に減点要素を書いておきましょう。氏の手順は古く、手順構成も洗練されていません。本書はシンプルな手順から始まるのですが、それは氏が30年以上前(1990頃)から用いてるもの。他の手順もおおむね似たような感じです。もちろん20年30年現場で使い続け、更新され続けてきた強みもあるものの、芯の古さがある。全体的に手順構築もよくなくて、なんの必然性もなくデックを持ち直してトップ・パームしたり、ダブル・アンダー・カットしたりします。そういう意味では完成度が低い。

問題点については言い終えたので、あとは褒めるだけです。本書は本当に面白く、おすすめの本です。Helge独自の趣向がふたつあり、どちらも本書を特別なものにしています。

まずは本書の目玉、サインの複製原理。これがもう目からうろこでした。使い方に制限は多いのですが、極めて自然な流れでサインカードのデュプリケートができてしまいます。90年代後半に思いついたとのことですが、そのときですら「何で誰も思いついてなかったんだろ?」と思ったそうです。そこから30年近く経った今でもThun本人しかやってなさそうな所を見ても、本当に盲点の発見でしょう。さらにおまけとして、もうひとつ別のサイン複製原理も解説されています。こちらはサインの複製方法として誰もが一度は考え、けれど無理すぎて放棄していたような手段を、現象構成によって実用に耐えうる物に仕上げています。こちらの手腕も素敵。

もうひとつの特徴が演技スタイルです。Helgeの演技環境は「観客席が演者を囲んでいる。客席は段になっていて徐々に高くなっていき、収容数は60~100人。雰囲気はステージ、距離はパーラー、現象はクロースも成立する」という小劇場。そういった環境で演じるプロとしての嗜好が、手順に強烈に反映されています。手順は主にマルチプル・セレクション、観客にサインしてもらい、何度もインポシブルロケーション現象が起こります。3枚カードを見つけたあと、戻して第2ラウンドが始まったりする。ご本人がいみじくも「カードでカップ&ボールのような手順をやりたい」と言語化していますが、こういった長手順はなかなか他で見ません。観客とのやりとりについてのアドバイスも非常によい。

面白い本でした。世にあふれる手品本とは一線を画す内容で、おすすめ。

2026年1月17日土曜日

"Discernment" Brandon Bell

Discernment (Brandon Bell, 2024)

元々はFun Ways to Pry Open Your Soul: And other assorted ways to pass the time(2006)という本に収録されていたそうです。収録作をアップデートして単売していくシリーズの一作とのことで、Secrets of Dr. Deeというところで売っていました。

販売サイトには現象の具体的記述もないんですが、「Open Prediction(公開予言)で、あまり使われてないカード技法を使っている」というのに惹かれ、安かったので買いました。あんまり良くはなかったです。「あまり使われてないカード技法(technique)」とあり、前書きにも「半ば忘れられたカード技法をユニークな方法で使ってるぜ」と書いてあってちょっと期待したのですが、これがまあ割と嘘。この手順はTed LesleyのKismit Connectionをトランプじゃない素材でやってて、そこらの転換はともかく、使い方はLesleyそのままなんで別にユニークではない。それにLesleyの作品を知ってる人には分かると思いますが、あの手法をtechniqueと言うかというと……。しっかりクレジットを書いてるのは偉いのですけれど。


現象も、どうにも説明のしにくいもの。過去の名作にオリジナル要素を入れ込もうとして、筋立てやテンポが変になっているように思います。単売にあたって追加アイディアとかも色々書いてくれてるんだが、それらも面白いはおもしろいんだが、やりたいことを詰め込もうとしてるだけで、かならずしも噛み合ってない。

ただオリジナル部分は悪くないです。観客に紙片を配って簡単な絵を書いてもらい、集めて、その中から1つを覚えてもらうのですが、これを当てることができる。Lesleyの原案から素材を変え、それ故に可能になるいくつかの策略によって、見た目のフェアさや現象の自然さがかなり変わっています。

「カード技法」に期待しちゃいけないし、現象全体もおすすめはしないけれども、それなりの人数の観客がいる場で、なるべくオーガニックな道具立てで、相手の思い浮かべた物を当てたい、ドローイング・デュプリケーションしたい、というような目的であれば悪くない選択肢だと思います。

2025年12月30日火曜日

“Extra Plots and Methods” Michał Kociołek

Extra Plots and Methods (Michał Kociołek, 2025)


原理を偏愛しつつも現象・演出にも気を配ったMichał KociołekのPlots and Methodsシリーズ、その第三巻です。これまでは4+1作品の小ぶりな冊子でしたが今回はボリュームアップして9作品にオマケ2作の小ぶりなハードカバー。

現象はポーカーとカード当てが多め。前著もそうでしたが、カード当て系では準備や演者側の負担に対して現象が見合っているか疑問な物もけっこうありました。他ではあまり見ない趣向や制限もあって、それがどこまで不思議さに寄与するのか、現象を実際に見たときどう感じるのかを、私がうまく想像できていない所も正直あります。いちど生でくらってみたいですね。一方では表裏混ぜた状態でのCAANや、ブランクカードで行うJazz Acesなど、企みが新しい絵面につながった面白い手順も収録されています。1作目と2作目の間ぐらいの作風でしょうか。

1作目Plots and Methodsがたいへん好きで、そこが基準になるのでちょっと厳しく見てしまいますが、まずどの手順もしっかり手が込んでいて、常に何らかの企みが進行している。そのうえで実演したくなる面白手順もあり、単なる技法・原理の組み換えでない新しい手順もある。原理や企みが好きならまちがいなくお勧めです。あいかわらずちょっと演者への要求が高いところはありますが……。

検索してもいまいち販売ページがヒットしないので、URLも乗っけておきます。

https://plotsandmethods.com/


あと私が買ったときは、単売もされてる作品Misdealのpdfがオマケで付いてきました。10枚カードのポーカーで、これもブランクカードが絡んでおり、企みと原理と見た目が噛み合ったすごい面白現象。なんならこれが一番やってみたくなりました。この人の手順は、やっぱりガフ使ったやつがハネると思います。おすすめ。