2025年1月20日月曜日

"Pocket booK" Peter Turner

Pocket booK (Peter Turner, 2024)

Peter Turnerと愉快な仲間たちによるPKメンタリズムの本。PKといっても念動力(サイコキネシス)ではなくBanachekのPsychokinetic Touchesのことだ。タイトル通りにポケットサイズの本になっていて、250ページあるけれども小ぶりで読みやすい。

BanachekのPsychokinetic Touchesはまごうことなき傑作だが、いくつか居心地の悪いところもある。ひとつは『時間』の要素で、もうひとつはDual Realityだ。本書の巻頭を飾るTurnerのMidas Touchは、見た目こそ大幅にリッチになっているが、手順の持つ居心地の悪さはそのまま――というより悪化しているように感じた。

しかし幸い、本書には愉快な仲間たちによる多くの寄稿がある。面白い演出や応用、本流のPK Touchの手法からは外れる変なものもあって、総体としては面白い本になっている。ただしどちらかといえば演出案や実演例の範疇に収まるものが多く、Luke JermayのTouching on Hoyのようなパラダイムがひっくり返るような作品はなかったように思う。そんな中で、Colin McleodのForce Be With Youは前記の居心地の悪さに対して、真正面から回答しようとしているのが良かった。

Banacheckの元手順の解説はないし、新機軸のアイディアもない。おまけにこの本はけっこうお高いので、誰彼となくお勧めはできない。ただし様々な見せ方は学べるので、実際にPsychokinetic Touchesを演じており、見せ方や使い方を勉強したい人だったら、十二分に元は取れるだろう。

ただ、本書によればBanachek本人がPK Touchの本を作ってるとのことなので、そちらを待っても良いかなあ……とは思う。

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