Redemption (Red Nist, 2024)
フランスのマジシャン、Red Nistのカードマジック作品集。基本即席の6手順。これも3 Monkeysの冊子でオシャレです。
前書きがMarkobiで、作品も全体的にDaOrtizの影響が大きい。エルムズレイ・カウントやブロウイ・アディションのような目に見える技法は使わず、カルのような見えない技法と、全体的な振り付けによる技法の分解、それから数理原理を組み合わせて現象を成立させている。かなり現代的なハンドリングです。ただ、完成度はちょっと落ちるでしょうか。余計な操作が無いのは良いことだが、そのために不自然な状態のままデックを保持し続けたりする。
思えばこれまで、手品の本を読んで「この技法の置き換えは雑では?」と感じる半端な作品はたくさんありました。同様に、この冊子では「この『雑さ』は雑では?」と感じる場面があります。
我々はこれまで、雑さや技法の分解についてはDaOrtizやHelderなど達人ばかりを見てきたわけだが、そのツールが一般にまで行きわたって、半端な使われ方もするようになってきたということでしょう。そういうわけで本書はちょうど「まずまず」の作品集です。
比べる対象が高すぎるだけで、質そのものは悪くありません。人に見せるならこれでいい、むしろこれくらいがいいとも思う。現代的なハンドリングの合格点の作品集といえるでしょう。今後の手品はこういうのがスタンダードになっていくのかもしれないな。
なお1作品目のTrue Ambitionは1段のみのアンビシャスで、かのYann Frischを3回連続でひっかけたそうです(なお横で見ていたBebelは騙せなかったとか)。こういうエピソードは書籍の良いところなのでどんどん書いてほしいですね。
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