More Plots and Methods (Michał Kociołek, 2021)
Michał Kociołekの新刊。前著と同じく4作品+おまけ1の小冊子。相変わらずたいへん賢い、のではあるが……。
前著Plots and Methodsは素晴らしく面白く、なので本書もすぐに買いましたが、本書には前著と一つ違うところがあり、それはガフを用いないということ。どれもひと揃いのレギュラーデックがあれば演じられるし、中には(頑張れば)借りたデックや即席で出来るものもあります。ただそれが良い方に働いたか、というと個人的には疑問。
全体的に、原理とフィッシングを組み合わせ、不確実な筋をうまく収拾していくタイプが多く、かなり演者に負担がかかるように感じました。筆者は繰り返し「一見複雑に思えるが分かれば簡単」と述べているものの、いや、僕の頭では厳しそうというのが正直なところ。また現象もカード当てに偏っていて、前著に比べて精彩に欠けました。
前著は『複数の原理、技法、ガフ、演出が高度に噛み合った』結果、素晴らしい一冊になっていました。本書ではそのうちのガフを捨てた皺寄せが、演者の負担と現象に利いてしまっており、かなり難しく、現象も狭まったのではないかと思います。著者自身、ガフ無しな点については「自分の作品としては珍しい」と言っており、本分ではないのかも。とはいえ、原理の組み合わせのうまさ、原理っぽさを感じさせない演出や工夫はやはり図抜けていますし、不確実性の扱いや、あえて遠回りするような構成、フィッシングの使い方などは、原理系手品の新たな地平といった感じ。その筋の方は買いましょう。
とはいえ僕には高度すぎた。もうちょっとズルをした手品が好きですね。またぜひ、全ての手段を投じた作品群で3巻目を出してほしいところ。
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