2026年1月17日土曜日

"Discernment" Brandon Bell

Discernment (Brandon Bell, 2024)

元々はFun Ways to Pry Open Your Soul: And other assorted ways to pass the time(2006)という本に収録されていたそうです。収録作をアップデートして単売していくシリーズの一作とのことで、Secrets of Dr. Deeというところで売っていました。

販売サイトには現象の具体的記述もないんですが、「Open Prediction(公開予言)で、あまり使われてないカード技法を使っている」というのに惹かれ、安かったので買いました。あんまり良くはなかったです。「あまり使われてないカード技法(technique)」とあり、前書きにも「半ば忘れられたカード技法をユニークな方法で使ってるぜ」と書いてあってちょっと期待したのですが、これがまあ割と嘘。この手順はTed LesleyのKismit Connectionをトランプじゃない素材でやってて、そこらの転換はともかく、使い方はLesleyそのままなんで別にユニークではない。それにLesleyの作品を知ってる人には分かると思いますが、あの手法をtechniqueと言うかというと……。しっかりクレジットを書いてるのは偉いのですけれど。


現象も、どうにも説明のしにくいもの。過去の名作にオリジナル要素を入れ込もうとして、筋立てやテンポが変になっているように思います。単売にあたって追加アイディアとかも色々書いてくれてるんだが、それらも面白いはおもしろいんだが、やりたいことを詰め込もうとしてるだけで、かならずしも噛み合ってない。

ただオリジナル部分は悪くないです。観客に紙片を配って簡単な絵を書いてもらい、集めて、その中から1つを覚えてもらうのですが、これを当てることができる。Lesleyの原案から素材を変え、それ故に可能になるいくつかの策略によって、見た目のフェアさや現象の自然さがかなり変わっています。

「カード技法」に期待しちゃいけないし、現象全体もおすすめはしないけれども、それなりの人数の観客がいる場で、なるべくオーガニックな道具立てで、相手の思い浮かべた物を当てたい、ドローイング・デュプリケーションしたい、というような目的であれば悪くない選択肢だと思います。