A Florin Spun (Hector Chadwick, 2023)
Hector Chadwickの新刊が出ました!
ここまでの情報で既に『買い』確定なので、あとは何を書こうが贅言でしょうが、いちおう付記しておくと装丁も梱包も最高にかっこいいです。買いです。
おわり。
まあその、Chadwickは作家で、本書もそういった性格が非常に強く、あんまり書くと読む楽しみを奪ってしまう。内容の大枠だけ書いておくと、コイントスのコントロールのみを扱った150ページの小ぶりなハードカバーです。大きく3部構成になっており、技法40%、用途30%、歴史20%くらいの配分。
読みものとして非常に面白いし、手法の解説も詳細で実用的です。『用途』のセクションがあるもののトリックの解説はないので、そこだけは注意。でもいい本なので買いましょう。
以下は備忘録。
前書きで非常に興味深い問が提示されており、曰く「コイントス・コントロールはほぼ完璧な技法であるのに、なぜ広く使われていないのか?」。それを受けて、「本書では技法だけではなく、そもそも何故コイントスの結果をコントロールしたいのかも探っていく」と続きます。しびれますね。
前半は技法の解説。人によっては知ってる内容かも知れませんが、周辺技法まで含めて、Chadwick一流の文章と視点で詳しく解説されます。そして後半は、これこそ作家である著者の本領発揮。詳細は控えますが、マジックの場でコイントスが使われる3つの『場面』が描かれます。繰り返しになりますが、手順の解説はないのでそこは注意。
原理や手法から、この行為のそもそもの意味、そしてクレジットまで、ひとつのテーマの探求を一冊に収めた素晴らしい本です。Héctor ManchaのThe Wonderous World of Pickpocketingとも近いですね。これを読んだら、あなたのテジナ人生にもコイントスという選択肢が入ってくること間違いありません。
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