2013年7月10日水曜日
"Penumbra issue 9" 編・Bill Goodwin & Gordon Bean
Penumbra issue 9 (編・Bill Goodwin & Gordon Bean)
Bill goodwin編集のマニアック・マガジン第9号。
技法多めのためか、作品点数はいつもより一個多いです。
Muy Bueno Shuffle:BJ Bueno
最近流行りの某フォールス・シャッフルをテーブル上で行う。非常によいと思いますので、あえてあまり踏み込まない。内緒です。上手く行うのは難しいですが練習。
Simulated Slip Cut:Allan Ackerman
スリップカットって正直あからさますぎるよね、って事で、ランニングカットに紛れ込ませた物。確固たる技法というよりも、Ackerman流のハンドリングといった程度の印象。上のMuy Bueno Shuffleとも相性がよいです。
Covered, Up!:J.K. Hartman
これはトリックですが、ほとんど単一技法に依っているので技法扱いでもいいくらい。コントロールなどの説明は大幅に省かれているからなおさら。
ハンカチでデックをくるみ、もう一度開けると、相手のカードかトップに表向きで現れている。
見覚え有るなあと思ったらCard Dupery にも収録されてました p.144。
Bertram, Braue and Ben:David Ben
我が身の浅学、技量のつたなさ、計算力のなさに打ちのめされるギャンブル・デモ。スタッドポーカー(4ハンド)、スタッドポーカー(6ハンド)、テキサス・ホールデムの3段からなる。Second Deal、Table Hop、Table Faroを駆使した4 of a Kind コントロール。構造はシンプルで無駄が無く、まさに”見えない超絶技術”のデモといった感じ。
特にBertramによるマルチプル・シフトから始まる最初のスタッキングは、相当にディセプティブ。
ただ少々問題があり「私はBertramの未発表のFaroを使っている(解説無し)」とか、「ここではFinlayのTable Shiftを使う。C.ジョーダンの本の5頁に解説がある」など、使用技法が解説されない事が多い。「良い技法だよ!」とだけ言われて歯がみすることしきり。あんまり古典もってない私の勉強不足が露呈する。
技術的にかなり難しいし、覚えなくてはならない事もちょっと有る、そのうえで現象と呼べるような物は特にない純たるギャンブル・デモなので、ある種のつまらなさはあるかもしれない。
でもこれ、一段目だけでも出来たらかっこいいなあ。
The Maddox Stack:Michael Maddox
David Benのとは対照的に、全く技法の要らないAny Hand Called for。
相手が役を選んだあと、一切のハンドリングが必要ない。それを達成するためのちょっとした工夫は、ささやかな発想の転換が良くできたミステリのようで非常に面白かった。ショーアップ次第でシグネチャー・ピースになりうる手順と思う。
技法多めだった第9号。Bueno ShuffleもBertramのShiftも、さすがはPenumbraといったクオリティ。いやでも個人的にPenumbraに求めているのは、洗練された”手順”なのですよ。そういう意味ではちょっと物足りなくもあった。
追記:
特に、手順がギャンブル・デモばかりだとどうしてもね……。文化が伴わないという言い方もされるけれど、観客のそれにも増して、僕自身の素養のなさというか、手札がロイヤル・ストレートフラッシュになっても僕がそんなに喜びを感じられないのね。
だから”現象”を起こしたぜって達成感がどうにも希薄で、上手く演じられない。
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