Top Secrets (Terri Rogers, 1998)
Terri RogersのSecretsトリロジー最終巻。
最終巻にふさわしく、かなり限定的な内容。というのも収録されている11作品のうち、かなりの部分を、単品販売されていた売りネタが占めるからだ。Paul HarrisのCardboard Connectionにトポロジカルなパズルを組み合わせて観客を煙に巻くBoromian Link、巧緻なブックテスト(実際には本ではなく半ぺらの紙を使う)Word of Mind、張り合わされた2枚の穴あきカードを折りたたむと表裏が入れ替わるStarGate、それから木製のブロックに通された紐をリングが貫通するBlockBuster*まで解説されている。もちろんその分、加工などの手間は増えるのだが、実に最終巻にふさわしい内容だ。
*ざっくり言うと、Tenyoのリングミステリーみたいな現象。
これら売りネタ以外にも、本当に長さの変わってしまう『錯覚定規』があったり、氏の創作をステップごとに追っていく内容があったりして、非常によかった。個人的なヒットは、切れ目のないベルトに通されたバックルが、表裏ひっくり返ってしまう現象。いかにもパズル的な解法と、それでは説明のつかない(しかしタネを知ってしまえば思わず脱力しちゃうほどシンプルな)解法の組み合わせは、これこそマジックの醍醐味ではないだろうか。
……ここまで書いて思ったが、SecretsやMore Secretsが気に入った人であれば、俺が何を書こうが本書を買うだろうし、逆にそれらが肌に合わなかった人は俺がここで何を書いても買わないだろうし、……このエントリの意味とは?
……まあともかく、個人的にはたいへん満足。欲を言うなら、これに限らずもっともっと、さらに多くのRogersの作品が読みたかった。それほど面白かったです。
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