Find Yourself by Connecting the Dots (Tina Lenert, 2012)
かのTina Lenertによる創作論のレクチャーノートです。より正確には、マジック・キャッスルで2012年に催されたレクチャーのまとめというかスピーチ原稿みたいなもの。彼女自身、レクチャーという大層なものではなくお話(talk)とでも言いたい、みたいなことを書いています。
彼女がそのように言うのも無理からぬところで、まずかなり特殊で限定的な内容です。Tina Lenertは40年近い芸歴がありますが、アクトは4つだけ。また多くのパフォーマーは代名詞的なアクトの他にも色々と手順を持っていますが、どうやらそれもなさそうで、文字通りにアクトひとつで10年とか20年とか仕事をするタイプのパフォーマーなんですね。そしてまたこれも彼女が自ら書いているんですが、マジックの仕掛けや技量の部分が秀でているわけではありません。
しかし裏を返せば、それでいてなお、10年20年通じるアクトを作り上げたわけです。冊子のタイトルが示すとおり、それらは彼女の人生にさまざまにちらばった『点』がつなぎ合わさることによって形作られており、そのため4つのアクトの成立経緯を語るこのノートは、簡単な彼女自身の小史でもあります。
単純な創作論の本としてみると対象がやや特殊ですが、この冊子を買う人はもちろんTina Lenertの演技を見た上で買うでしょうし、そういった人にとってはとても需要にマッチしています。また人生をかけて、人生を反映したひとつのアクトを作るという姿勢は、我々の如きアマチュアにも響くものです。
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