2019年8月27日火曜日
"Facing the Truth" Rick Maue
Facing the Truth (Rick Maue, 2019)
Ricu Maueの久しぶりのレクチャーノート。
再録とエッセイ多し。
Rick Maueは特にマルティプル・アウトで有名で、代表作Terasabosでは『伏せられた4つのカップのどれにアイテムが隠されたかをマルチプルアウトのみによって当てる』ということを(実効性はともかく理論的には)確立しました。本書でも、いわゆる「タネ仕掛け」よりも、演出やアウトによって成立する手順が多いです。
イベントにはそれなりに登場していたみたいなんですが、だれでも買えるノートのリリースは本当に久しぶりです。再録とエッセイが多いですけれど、前者については、ほとんどがそういったイベントなどでの限定ノートからの再録なのであまり問題はありません。ただトリックの数が4~5個と少ないのと、それ以外を埋めるエッセイの内容は、うーん。
Compass
4人の観客が、それぞれ紙片にイラストを描き、演者が封筒にそれを入れる。封筒も紙片も観客が全く自由に選べるし、さらに集めた封筒も全く完全に混ぜられる。演者は①封筒を開けてイラストを見て、描いた人を当てる。②封筒を開けず、意識を集中させるだけで当てる。③④封筒に一切触らず、視界にも入れずに当てる。
たいへんフェアで面白い原理ですが、ある肝心の部分でフェアさが薄れている気はします。また③④でのサトルティはこの手法に限らず用いることのできるもので、非常に巧妙。
Silent Q&A(未発表)
Compassの原理を応用した、質問に答えないQ&A。
かなり演者を選びます。メンタルマジシャンの中には、純エンタメとしてではなく、自己啓発セミナーみたいな形でショーを行う人がいるんですが、そういう方面の演出。
A Matter of Trust
こちらも同様、非常に演者を選ぶスパイク・テストの演出。Maue自身、スパイク・テストは嫌いだったそうで、それを自分でも演じられる形に改修したというもの。確かに面白い演出の転換なのですが、やはりちょっと、かなり、自己啓発セミナー感。
Group Dynamic
たいへん巧妙なチェア・テスト。The Roadというノートからの再録で、これは普通に買えるやつであり、なんなら既読でしたが、まあすっかり忘れていたので構いません。
Terasabosに近いマルティプル・アウトもので、4人の内の誰がある色のボールを隠し持っているか当てる、というもの。せりふ回しにどうしても多少の不自然さが出ますが、それ以外では非常にフェアで不思議です。
NPCTP
No Palm Card To Pocket。
メンタリスト的な『策略』を使うことで、非常に負担の少なくフェアなCard to Pocket。リセットも不要で、ストローリングにも向いてる。俺は12歳の頃にはもうこういった問題意識を持ちこういった創作をしていた、などとやや説教くさい。
で、残りはエッセイ。これは全体的に面倒くさいです。訃報に接してが2本、あと格好良さとは、とか、手品創作とは、気分の切り替えをどうするか、などですけれども、手品そのものからはやや距離が遠く、本当にエッセイという感じ。またなんか全体的にとげとげしいのですよね……。
手順は相変わらず賢いのですけれど、さすがに数が少ないし、エッセイはほんとにエッセイだし、このノート買うよりも、他のノート買ったほうがいいんじゃないかな。それこそThe Roadとか、もっと手順も多くて面白かったように思います。よく覚えてないけども。
ただ新刊の告知が入っていてそれはうれしかった。楽しみです。
0 件のコメント:
コメントを投稿