2018年12月28日金曜日
"prevaricator" Patrick G. Redford
prevaricator (Patrick G. Redford, 2005)
Patrick RedfordによるノーギミックのWhich Hand(の亜種)。
記事を書きかけてずっと放置してたのですが、UnVeilを読んで良い機会だったので発掘しました。
Redfordはメンタルがメインの人ですけれども、普通のカードもやってるしコインもやってる、何ならマンガも描いてるらしい、割と手広い人です。で、当たりはずれがけっこうあるんですけれども、これは非常に賢い大当たり手順。
2人の観客にコインを渡し、演者から見えないようどちらかに握って貰う。また嘘吐き/正直の役割のうち、どちらがどちらを担うかも秘かに取り決めて貰う。で、演者は尋ねます。
「コインを持っているのはあなたですか?」
答えは必ず
「はい」
「はい」
か
「いいえ」
「いいえ」
のどちらかです。
しかしこれで、演者は誰がコインを持っているのか見抜いてしまう。
実をいうと、ここには所謂『タネ』がない。文字通りに「嘘を見抜く」のです。と言ってもこう、目を合わせる合わせないとか、返答が遅れる遅れないとか、そういうのではない。もっと信頼性が高く、もっと盲点を突いた手法です。
こういう手法は敬遠する人は多いかと思いますし、僕もどちらかといえばそうです。でもprevaricatorは確実性は高めで、あまり大仰でもないので、心理的な手法への入門にはちょうどよいのでは。この原理は他にもいろいろ拡張できそうでもあり、知っていて損はないと思います。なにより単純に面白い。できのいい推理小説を読んだような気分になります。1トリックに対しては少々お高いですが。
後年、同タイトルのDVDが出ました。なんと対人練習のための練習モード付き。またそうそうたるメンツによる寄稿作品を集めたe-bookも付いていた模様。いまはほとんどどこも品切れですね。買っておけばよかった。
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