コピー紙をホチキス留めした極めて薄い(16 ppの)冊子。ですが非常に面白かったです。
寡聞にして知らなかったのですが、トリックスのディーラーだった方なのだそうです。この冊子ではレギュラーデックで出来るカードマジックを3つ解説。そのどれもが奇妙にねじくれたロジックを元に展開するとんちんかんな現象で、たちまちファンになってしまいました。
解説にも工夫があり、あくまで即物的でつまらない見方をした現象説明と、演者の言い分を可能な限り斟酌した壮大な現象説明とを併記しており、受容のされ方の最大と最低が同時に示されていて面白いです。
現象説明については両方ともショップに記載されているので、是非見に行ってください(そして買うといいと思います。たったの500円です)。
1・リプレイ
どう使えばいいかよく分からない地味なカウント技法を時空のねじれにまで仕立て上げたレギュラー・パケット・トリック。
2・素数は素敵
テンポのよいフルデック・プロダクション(4 of a kindプロダクションを連続して行い、最終的に全カードを使用するものの事をとりあえずいまこのように呼ぶ)。
3・消える予言
わかったようなわからないような話。いろいろな理屈をねじ曲げようとする。(『論理のアクロバット』はこういう事を指すのではないと思う)
現象がとかくオリジナルで怪奇です。『脈絡のない現象』や『突拍子もない現象』はふつうは避けるべきなのですが、この場合はうまく機能しているように思います。現象それ自体は案外普通で、『脈絡のない・突拍子もない』のは演者だからかもしれません。カードマジックではあるが、不思議なのはむしろ演者というかたちになります。
解説で、演者の台詞がかなり生に近い文体で書かれていたり、それぞれ創作のきっかけやねらいなどがつづられているのも良。
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