2012年9月14日金曜日
"Spineless" Chad Long
Spineless (Chad Long, 2008)
Chad LongのBooktest単品ノート。
Longにブックテストとかどういう事だろう。つまらない、とは言わないけれどシックで地味な現象とおもうのだが、そのLong版? 想像つかんわ。
と思っていたのですが流石にLong、破天荒でした。
Spineというのは背表紙のことで、上掲のノート表紙にもあるように、ばらばらのページを使ったブックテスト。新聞のテストだと破るのは割に一般的だが、本で”破る”のはほとんど見たこと無い。まして全ページ破りとった状態とか。
そーすると、もはや本というよりも、我々になじみ深い某紙製の束に近いわけで、いろいろと技法が流用できるわけです。
で、手法的にはここでおしまい。それだけなら個人的には、うーん、という印象どまりなのですが、手法以外の部分が非常に良かったのです、この作品。
ひとつは、レベレーション。いわゆる読心パートなのですが、私淑するDerren Brownが言っているような、視覚的でかつクライマックスのあるメンタルマジックに仕上がっておりまして、実にいい。
もうひとつ、台詞がまた良かった。
個人的に、この作品のアウトラインを知った時点ではあまり良い印象を持ちませんでした。単純に、本を破るという行為がとても嫌だったから。
が、この”破れた本”という状況を、本好きにさえ好かれるような形にできる演出が用意されていたのです。まあLong自身の演出はギャグと躁状態で押すような感じなんですが、ちょっと手を加えればシリアス寄りなメンタリストでも十分に使用できるでしょう。ユーモアの効いた非常によい演出で、素直に感心。
というか、本を破る時点で無しだな、と思考停止していた自分が恥ずかしい。
と言うわけで非常に良い冊子でした。
単品ですが、DVDや全冊子含めて、個人的には一番よかった作品かも知れません。
単純な技術・手法の解説でなく、唯一(?)プレゼンテーション含めて解説されていたからかも。
手法的な破天荒さと、それを不自然にしない演出技術がとても冴えていました。
シリアスのみから脱却できないメンタル屋や、パーラー手順にブックテストを入れているがぱっとしない、という人は是非とも本書を。
マジックランドでのレクチュアーで本人の演技を観ましたが、文庫本を破っているので、何してるのかなと?? とても面白いレクチャーでした。
返信削除例の2冊の本は無事手に入り、久しぶりに貪るように読んでいます。
Semi-Automatic Card tricksには、重なっていない作品も多数ありましたが、
全くスルーしていました。
レクチャーの模様は教授さんのHPでも見ましたが、本好きの自分としてはそれだけで非常にギルティというか感じ悪いんですよね……。
返信削除Semi-Automaticとか持ってる人いたんだ……。Rioboo特集の巻もあったようなので僕も読みたくなってきました。
>例の二冊は無事手に入り
HCは版を重ねる毎に黒(?)、白、金文字の三種類あるようですがどれでしょうかね?
余談ですが、僕は「こんな郵便為替みたことないって銀行がなかなか処理してくれない」とかいう理由で、いまだ発送してくれてない本があります。相手方の身元はちゃんとしているので詐欺では無いでしょうが……いつか、ちゃんと届くのかなあ……。
私的には、文庫本でも、本を破くことは出来ません、、。
返信削除ざっと見たところ、Semi-Autoの5巻には5作品あり、そのうち3つが重複、7巻には9作品あり、1つが重複、8巻には14作品、1論文?重複なしで書かれています。同じ作品でもBeamとBenatarでは書き方や、文章が違いました。Thinking,,,の方が、細かい所まで書かれています。
HCの本は、白い表紙に黒文字です、revised editionと入っています。図が2つしかないのは、私的にはきついです。
郵便為替は、、災難ですね。
どうしても欲しい物があって、2回送金したことがあります。
2回目に届いた宛名書きが、悪筆で、1回目はどこか違う所に届いたんだなと思いました。
SemiAuto持ってらっしゃるんですね。持ってる人いないだろうとか以前書きましたけど済みません。
返信削除やはり意図が書かれないと、良作でも見過ごしがちですよね。そこが選球眼の見せ所なのでしょうが、なかなか難しいものです。
本国ではMore Thinking Impossibleと言うべき続巻があるらしいので、翻訳が待ち遠しいです。あるいはスペイン語を今から勉強するか、ですね(笑