2012年6月13日水曜日
"Sleightly Original" Tom Gagnon
Sleightly Original (Tom Gagnon, 1981)
最近 Avant-Cards Card Magic of Tom Gagnonという本が出て、名前を知るようになった。Vernon Chroniclesのイラストを担当し、FFFFやNew Stars of Magicにも出ていたというのだから、古参であろう。
これはコインマジックの冊子。財布と相談した結果であるが、コインは資料が少ないし、Bertramが推薦文でアセンブリのムーブを褒めていたので、そこも気になったのである。
さて。長い、ながい戦いだった。100頁そこらなのだが、これが実に読みづらい。
耐えられないくらい冗長な文章に加えて、現象がマニアックすぎる。
まず前者。
今までで5本の指には入る読みづらさ。動きだけを解説しているはずなのだが、” 右手でコインを取り上げ、手前に引く。Refer to Figure #8。このとき左手の位置がコインの動きの直線上にある。again refer to Figure #8” とか、別に(fig.8)でええやん。っていうか一回絵を見たら判るし。
他にも色々と、注釈や補足の挟まり具合のせいなのか何なのか、何を読んでいるのかどうなっているのか判らなくなってくる文章。単語は簡単なので読んで読めなくはなく、解説として余剰であっても不足はないのが不幸中の幸いか。
そして後者。
内容がマニアックすぎる。
本書の半分以上を占める作品が、サムチップとフォールディングコインの組み合わせ。まったく興味が湧かない。正直どっちも持ってないし。
状況的にも、ハーフダラーが十分な視認性を持ってて、かつ結構大胆にサムチップも使えて、というのは、制限がきつすぎる。あげくそれをTwilightの1枚目のロードに使ったりとか、リスクに対する効果のほどもあやしい。
あげく、フォールディング カッパー&シルバーとかいうギミックまで飛び出す始末。
マニアックにも程がある。
マトリックスのムーブでも、ピックアップムーブから天海ピンチへ、とか面白いは面白いのだけれど、テーブルで天海ピンチはしんどい。こっちが立ってて、かつ相手も立ってて、それでいてテーブルとかでもない限りは。
ザローシャッフルもそうだが、ちょっとでも離れたら、モロ見えだものな。
まあ色々と鬱憤が溜まっているのだが、改めて見直してみると、ドマニアックかつ文章が判りづらい、という点はやはり揺るぎない事実であるものの、何も知らないで見せられたら仰天するかもなー、という手順もけっこうある。
サムチップの至近距離での有効性有用性を、ぼくはよく知らないのだが、サムチップが十分に使えて、かつ非効率でも徹底的な不思議にこだわったり、あるいは身内を手ひどく引っ掛けたい、という人には良いかも知れない。
今回は道具立てがとことん合わなかったが、このドマニアックさは、はまればハマるかも。
貶しておいてなんだが、他の本への興味もまだある。だって『ケースに仕舞った状態でのカードコントロール』だけを解説したノートもあるんですよ。実にマニア心をくすぐるじゃないか。
結局、力業でしかも非効率なのでは、という不安はありつつも気にはなる。
誰か突っ込んだ人が居たのか、幸いにも他の本はGagnonの筆ではなく、それぞれWesley JamesとJohn Luka。どちらの本も読んだことはないが、Gagnonほどの文章ではないだろう。きっと。
お金と心と時間に余裕があったら、もう一冊くらい読んでみたいかも。
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