The Ten Card Miracle (Ted Karmilovich, 2016)
Karmilovichの限定単体トリック冊子をもうひとつ買っていました。こちらはステージ用カード手順。よく混ぜたデックから観客10人に1枚ずつカードを配り、それを演者は当てていく。
もともとTossed out deckをやっていたのだが、どうしても不満点があり、それらを解決するために作り上げた手順とのこと。確かにTossed out deckの問題は綺麗に解決されているし、実用性も高いだろうが、面白いかというとちょっと微妙であった。
Karmilovichのスタイルがだんだん分かってきて、原理や骨格は古いが、細部をじつに上手くサトルティで補強して、その上で実用性を高く仕上げている。そういう意味でこれも、こまかなサトルティはたいへん上手く、また実際に演じれば非常に効果的だろうと思うのだが、Three Pellet Testに比べるとポピュラーなプロットであるぶん、コアになっている原理がどうしても魅力に欠ける。言ってしまえば、現象説明を読んで、近いところまでは作れてしまうだろう。
というわけで本書の真価は、細かなサトルティとプロとしての仕上げにある。……のだが、多人数に演じる機会がまずない僕のようなマニアには宝の持ち腐れかなあ。このプロットが好きだったり、演じる機会があるのなら入手して損は無いと思いますが。
またオマケとして、このたぐいの手順を子供相手に演じるアイディアが載っている。この辺も実にプロっぽい。