2014年1月13日月曜日
"Troika:3 Mentalism Daydreams" Brad Gordon
Troika: 3 Mentalism Daydeams (Brad Gordon, 2008)
メンタルマジック3+1。
「元々カーディシャンだったけどメンタリズムにも興味が出てきたんだ!」 ということでそれはよく分かります。
意外にもカード技巧ぽい所は無く、割と度胸だよりというか雰囲気だよりの手順が多くて評価が難しい。どこまで通じるのかなぁ?
Purposive Reverie
デックの中にあるたった1枚の特別なカードを観客が選ぶ。外見としての自由度は高いが、あまり"選択"した様には見えないよなあ。MavenのFan Forceみたいなものでなかなか怖い。
Match Box
マッチの箱が重くなる。とあるギミックが利いている。
The Locket Connection
ロケットをペンデュラム代わりにしたカード当て。ここのフォースは前例有りそうだけど秀逸。ただ小道具を導入しすぎてよく分からない現象になっている気がする。
O.vert U.tility T.ranscript
純・サイコロジカル・カードフォースに失敗した時用のアウト。リーディングに逃げるのはよくある手口である。
うーん、あまり語ることが無かった。かなり場の雰囲気に左右される手順が多く、ちょっとでも挑戦的な相手とかだと端から成立しないような。Eugine Burgerとかなら出来そうですが、僕の手には余るかな。
面白くはあって、知っておいて損はない感じなのだが、強力な魅力には欠けた。所々の工夫は光るのだけれど、全体として半端な感じ。もうちょっとどちらかに振れて欲しかった。
"Penumbra issue 5" 編・Bill Goodwin & Gordon Bean
Penumbra issue 5 (編・Bill Goodwin & Gordon Bean,2003)
碩学Bill Goodwinによる不定期刊行冊子、Penumbraの第5号。
他の号のレビューでも既に書いたが、そんじゅそこらの個人誌とは異なり、大変面白く、そして十分に練り込まれた作品が掲載されている。
今回は純・カードの作品は少なめ。
A Double Shot:Jim Patton
エラスティック・ループを使った連続Aプロダクション。David BritlandのAngel Aces(Card Kinetics,1988)をベースにしており、2枚のカードがそれぞれ左右に飛び出す部分がJim Pattonによるアイディア。
またこの部分だけを用いたカード当ても解説。
カード当ての方では、このアクティブなギミックを見えない形で使用しており面白い。実体化現象の趣もあり、やられたら気持ち悪そう。
なおエラスティック・スレッドが同梱されている。
The California Angel:Bruce Cervon
Pattonの現象に対するCervonのハンドリング。よりマジックっぽい見栄え。またDouble Shotのセット別案あり。解説者も言及しているのだが、これが非常に省力化された方法で驚く。
The Cherry Control:Ricky Smith
見えないトップ・コントロール。
カードを差し込んだ後、ファンを広げ、閉じるともうトップに来ている。
個人的にはBow-To-Sternの方が好きだが、あれよりもだいぶ楽+角度などの制限もすくなそう。
Ricky Smithは露出が少ないが、Dan and Daveをフラリッシュの魔道に落としたり、Earickの手順を非マジシャン相手に演じたり、というド変態レベルの逸材らしいので、今後も注目したい。
Color Scheming:J.K. Hartman
Penumbra issue 3に掲載されたLee AsherのThe Continental DivideのHartman流バリエーション。Card Duperyにも収録されている。
色がバラバラのデックを示した後、怪しい動作無しで赤黒分かれてしまう。
Asherのものが、バラバラ→分裂→再びバラバラなのに対して、こちらはバラバラ→分裂でかつエンドクリーン。ただしセットアップが必要。
Asherのものもチェックしたいのだが、Penumbra issue 3 が手に入らないのですよね。動画販売もしているみたいだが高い上にOne on Oneみたいで尻込み。モダンなAsherのエフェクトの、クラシック手法での表現といったイメージか。簡単に見えて意外と難しい。
Business Trip:Patrick Schlagel
左手の掌に指輪を置き、右手をかざすと、指輪が左手薬指にはまっている。貫通・移動現象。癖が無くたいへん使いやすそう。
「指輪を自然に持ち歩くためにも結婚しましょう」うるさいですよ。
Centrifugal Nightmare:Scott SteelFyre
Professor's Nightmareの表現技法。同じ長さになった3本のロープが、カバー無しで目に見えて違う長さになっていく、というもの。なるほどなー。あんまりロープ詳しくないのですが手軽かつビジュアルで素敵です。
というわけでPenumbra面白いです。 なによりGoodwin(だと思う)の解説の筆が良い。個々のマジックが非常に奥行きのある物に見えます。誰か日本でもこういう冊子出してくれないかしら。
2014年1月7日火曜日
捨行、あるいはもう開く事のなかろう本について
あけましておめでとう御座います(今更)。
今年の投稿を見返すと、これが見事に冊子しか読んでない。
大判本もいくらか買って読んでるんですが、だいたい途中で止まって放置しておりこれは良くないです。
年度末までに何冊かは読み切りたい所存。
さて当たり前の事ではありますが、本ブログは"通読・読了"した本をレビューしています。
しかしこれまでには、読む事を断念した本や、流し読みして買わなかった本も存在します。読んでいないのだから語る資格はないのですが、しかし読み進めない選択をした理由も確固として存在する。たまにはそういう事を口にしても良いかなと思いましたので、今回は未読了のままもう開かないと決めた本についての雑感です。
なお記憶に頼って書いているので、間違ってるかも知れない事を先にお詫びしておきます。
Naked Mentalism Jon Thompson
文字通り裸で出来るメンタルマジック!との事。
結局は単語の頻度をベースにしてて、あとは即席の対応みたいな話だったと思う。中盤以降は単語頻度リストみたいなのがずっと続いている気配で、さすがに言語違うとどうにもなあと思って以降放置。
今ちょっと広告みたら、プライミングとかの話もちらほらあり、ひょっとして読み返したら面白いのか?
どなたかから好意的な意見があれば背中を押されて読み直すやも。
Enigmath Werner Miller
数理トリックが好きだ。トリックより数理部分が好きだ。
とか書いてありつまらない数理トリックの見本みたいなe-book。3トリック目あたりで読むのを断念。ある枚数目に返して貰って、ダウンアンダーしてアンダーダウンしてアンダーダウンしてダウンアンダーすると当たる、みたいなそこに何の意味も意義も見いだせない感じだった。
これが5巻まで続いているらしい。
続く=人気あるという頭で1巻を買ったのだが、電子出版(自費出版)では全然当てにならない指標だったと己がうかつさを呪った。
Mind Blasters 1&2 Peter Duffie 編
イングランドのマジシャンから集めたメンタルマジック集。
とにかく判ってない。何も判っていない。
読心術、と口先で言っておけばなんでもメンタルマジックになる訳じゃないんですよ。
予言もそう。T.A. Waters先生の薫陶を受けて育った私としては、とりあえず予言にしとこう、程度の予言マジックには我慢がならんのです。
特に酷かったのでいうと、トランプの表になにか書いて貰いそれをデックの真ん中に戻した状態から当てる、とかさ。まずトランプに書かせる理由がわからなくて不自然きわまりないし、デックの中に入れても演者がそれ持ってるわけだし隔離方法としてさっぱり機能してない。
とこういう駄作としか言いようのない駄作があまりにも多く、ページ数も多く、あまりにも不毛だったので途中で断念。2に至っては開いてすらいない。
基本的にこういうオムニバスとは相性が悪いようです。
もし面白い作品知ってる方が居たら教えてください、そこだけ読みます。
最新メンタル・マジック徹底解説! 林敏明
ウィザーズ・インの柳田昌宏が最も得意とするメンタルマジック作品集!
ウィザーズ・インの柳田氏、危険信号①。
オリジナル作品を年に200も作る、とか前書きに書いてあり危険信号②。
(ていうか個人選集なのかよ、タイトルから想像つかないよ。おまえの最新マジックなのかよ)
メンタルマジックと言いつつカード作品しかない、危険信号③。
クレジットが無くまるで全て一から考えましたという空気、失格。
主張ではなく空気なのがミソ。そういう誤解を招くように招くようにと計画的に記述されている気がする。なんかここまで来るとね、本人が書かず他者が筆を執るこの形式も、クレジット不備などについて責任の所在をはぐらかすため故意にやっているのではないかとさえ邪推してしまうね。
これは買わなかった本。まだ部室にあるはずだがいい加減破棄してしまえと思う。
いやちゃんとクレジット完備だったよ、とかだったら教えてください。買って詫びます。
ともあれ今年もよろしくお願いします。
最近はあまり欲しい本も出ないので、家に積んであるのをじっくり消化したい所存。
あと手品が出来るようになりたい。
もとい、不思議な手品ができるようになりたい。
切に。